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映画
「モンテ・クリスト伯」無実の罪で投獄された青年の壮大な復讐劇
(2025年11月8日10:00)

フランスの小説家アレクサンドル・デュマの「三銃士」と並ぶ歴史的ベストラーの同名小説をフランスが映画化した壮大な愛と復讐のスペクタクル活劇「モンテ・クリスト伯」が7日から全国公開された。
顔と名前を変えて自分を陥れた人に時間をかけて復讐するという、今や誰もが一度は読んだり見たりしたことのあるリベンジストーリー。その礎となったのは、1844年~46年に書かれたアレクサンドル・デュマ原作の「巌窟王/モンテ・クリスト伯」で、書籍は原作そのままの長いものから児童文学向けに読みやすく短くまとめられたものまで様々あるが、どんな世代でも夢中で読めてしまうその壮大な内容が魅力。何度もドラマ化・映画化・舞台化しているこの原作が、フランスの超大作として新たに映画化された。
主演のエドモン・ダンテス(のちのモンテ・クリスト伯)を演じるのは『イヴ・サンローラン』(14)で神経質な風貌の細面デザイナー、サン=ローラン役の印象が強いピエール・ニネ。
『ブラックボックス:音声分析官』(21)では音声分析官、『母との約束、250通の手紙』(17)ではパイロット兼作家、フランソワ・オゾン監督の『婚約者の友人』(16)では贖罪の元兵士を演じ、繊細な心の動きをまばたきひとつで表現できる稀有な俳優としてフランスのトップに君臨し続けている。
そして、敵を同じくするダンテの復讐計画で暗躍する若い女性エデをアナマリア・ヴァルトロメイが演じている。子役時代『ヴィオレッタ』(11)で世間の話題をさらい、『あのこと』(22)で望まぬ妊娠に翻弄される大学生、ポン・ジュノ監督作『ミッキー17』(25)では強く優しい戦闘員、『ラストタンゴ・イン・パリ』の撮影裏を描く『タンゴの後で』『タンゴの後で』(25)ではマリア・シュナイダー役に抜擢。アナマリアはいま一番ホットなフランスの若手女優。意志を持った大きな強い瞳、華やかな存在感、真のスターの輝きを放っている。








フランスを代表する名優たちが勢揃いした超大作で、製作費と時間と手間がかかっている。劇中に登場するロケ地は歴史的な建造物や風景。特に、セーヌ=エ=マルヌ県のフェリエール城、モー大聖堂、ヴァル・ドワーズ県のダンポン城、パリのパレ・ブロングニャールなどが重要なシーンで使われている。
そして特筆すべきは19世紀前半のフランス衣装の再現。当時のいちばん洗練されたハンティングスーツやテイルコートなどの紳士服からプリント・ドレスなどの婦人服まで、どれもうっとりするほど上質な生地と丁寧な裁縫や刺繍で作り込まれ、役者が着て動くの大変だったであろう…と思わせる徹底っぷり。主演のニネは年代や立場で変わる衣装に合わせて体型も変えたということで、仮面やメイクやCGに頼らない役づくりも注目される。
【story】
1815年、ナポレオンが失脚後のフランス。マルセイユの若き航海士エドモン・ダンテス(ピエール・ニネ)は、地中海で難破した船から脱出した女性を救助して雇い主に称えられ、新たな船長に任命される。名家の女性メルセデス(アナイス・ドゥムースティエ)との結婚も決まり幸福の絶頂期だったが、結婚式の当日、「ナポレオンを支持する反逆者」といういわれなき罪で逮捕され、終身刑を宣告されたダンテスは、イフ城塞の牢獄に投獄される。
ダンテスを陥れたのは、ダンテスだけが知る不都合な秘密の隠蔽をもくろむヴィルフォール検事(ロラン・ラフィット)、ダンテスに船長の座を奪われたことを恨むダングラール(パトリック・ミル)。そしてダンテスの親友で、いとこのメルセデスに想いを寄せるフェルナン(バスティアン・ブイヨン)の3人だった。
ダンテスは隣の独房に収監されているファリア司祭(ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ)とめぐり合い、2人で脱獄のためのトンネルを掘り続ける。ファリア司祭はテンプル騎士団の最後の生き残りと明かし、歴史、哲学、数学などありとあらゆる知識を教え、騎士団が隠した莫大な財産をダンテスに分け与えるという。そうしたなかダンテスは獄死したファリア司祭の遺体になりすまして脱獄に成功。騎士団の莫大な隠し財産を受け継ぎ、イタリアの大富豪”モンテ・クリスト伯”を名乗り、ダンテスの復讐相手に恨みのある若い女性エデ(アナマリア・ヴァルトロメイ)と青年アンドレア(ジュリアン・ドゥ・サン・ジャン)の協力を得て周到な復讐劇を計画。20年前にダンテスのすべての人生を奪った3人への復讐を開始する。
【見どころ】
ダンテスが船長就任と最愛の女性と結婚という幸福の絶頂期に突然襲った3人の男の陰謀による投獄。生きて出るのは不可能といわれる頑強な牢獄での壮絶な獄中生活と脱獄。そして家にたどり着くと、愛するメルセデスはフェルナンと結婚して息子をもうけパリに移住していたことを知るという更なる悲劇。そして、復讐計画に参加する青年アンドレアの出生の秘密とエデの境遇などが絡んでドラスティックに展開する壮大な復讐劇は、スリリングで最後まで目が離せない。前述の19世紀前半のフランス衣装の再現や、劇中に登場するロケ地は歴史的な建造物や風景などもあって、見ごたえのある壮大なスぺクタル活劇になっている。
【クレジット】
監督:マチュー・デラポルト、アレクサンドル・ド・ラ・パトリエール
出演:ピエール・ニネ(『イヴ・サンローラン』)、バスティアン・ブイヨン(『12日の殺人』)、アナイス・ドゥムースティエ(『彼は秘密の女ともだち』)、アナマリア・ヴァルトロメイ(『あのこと』 )、ロラン・ラフィット(『エル ELLE』)
2024年/フランス/178分/シネマスコープ/5.1ch/字幕: 手束紀子
後援:在日フランス大使館 / アンスティチュ・フランセ / G指定
© 2024 CHAPTER 2 PATHE FILMS M6 FILMS FARGO FILMS
公式サイト:https://monte-cristo.jp/
11月7日(金)よりTOHO シネマズ シャンテほか全国ロードショー