「テイク・ミー・サムウェア・ナイス」オランダからボスニアへ アルマの自分探しの旅

(2025年9月15日9:30)

「テイク・ミー・サムウェア・ナイス」オランダからボスニアへ アルマの自分探しの旅
「テイク・ミー・サムウェア・ナイス」ポスタービジュアル

オランダからボスニア渡ったアルマの自由気ままな自分探しの旅を描いた異色の青春ロードムービー「テイク・ミー・サムウェア・ナイス」が13日から公開になった。

本作は“どこにあるかもわからない素敵な場所”を探し求める主人公アルマと、その従兄エミル、そしてエミルのインターンを名乗る青年デニスの3人が繰り広げる気ままな旅を描いた異色作。
物憂げなのに不思議と心地よく、風変わりでありながらどこか親密さも感じられる本作は、「大 人」とも「少女」とも言いきれないひとりの若い女性が経験する、ひと夏の物語。青春ロードムー ビーであり、陽光きらめくバカンス映画の趣も湛えたその映像世界には、長編デビュー作となるエナ・センディヤレヴィッチ監督の独創的な感性が息づき、観る者に白昼夢の中をたゆたうような映画体験をもたらす。

アルマ役には、2000年、オランダ生まれでボスニアとセルビアの血を引くサラ・ルナ・ゾリッチで本作が映画初主演。アルマを自然体で演じ、その奔放さ、繊細さ、そしてどこか疎外された雰囲気をあわせ持つキャラクターで一躍注目を集めた。
アルマの従兄エミルに、エルナルド・プルニャヴォラツ。冷めた雰囲気と現実感のあるキャラクターが印象的で、無愛想ながらも、どこか憎めない“人間 くささ”を体現している。TVや短編作品への出演を経て、本作が長編映画デビューとなる。ときに無責任で気まま、どこかに孤独 を抱えた人物として描かれ、その静かな存在感は各国で話題を呼んだ。
エミルのインターンを名乗る青年デニス役には、主にインディペンデント映画やヨーロッパのアート系映画に出演してきたモンテネグロ・ポドゴリツァ生まれの注目の若手俳優ラザ・ドラゴイェヴィッチ。

 「テイク・ミー・サムウェア・ナイス」オランダからボスニアへ アルマの自分探しの旅
「テイク・ミー・サムウェア・ナイス」場面写真(ヒロインのアルマと従兄のエミル)
 「テイク・ミー・サムウェア・ナイス」オランダからボスニアへ アルマの自分探しの旅
デニス㊧とアルマ
 「テイク・ミー・サムウェア・ナイス」オランダからボスニアへ アルマの自分探しの旅
 「テイク・ミー・サムウェア・ナイス」オランダからボスニアへ アルマの自分探しの旅
 「テイク・ミー・サムウェア・ナイス」オランダからボスニアへ アルマの自分探しの旅
 「テイク・ミー・サムウェア・ナイス」オランダからボスニアへ アルマの自分探しの旅
 「テイク・ミー・サムウェア・ナイス」オランダからボスニアへ アルマの自分探しの旅
 「テイク・ミー・サムウェア・ナイス」オランダからボスニアへ アルマの自分探しの旅
 「テイク・ミー・サムウェア・ナイス」オランダからボスニアへ アルマの自分探しの旅

監督・脚本のエナ・センディヤレヴィッチは、ボスニア・ヘルツェゴビナ出身でオランダ育ち。長編デビュー作となる本作は、監督自身のルーツを主人公に色濃く投影した半自伝的な作品という。監督自身のルーツが色濃く投影されたアルマは「自分はどこに属しているのか」「本当の居場所はどこなのか」を問い続ける女の子。経済的格差が途方もなく大きい西欧(オランダ)と東欧(ボスニア)の文化的対立や、移民といったテーマがさりげなく織り込まれる。1992年にユーゴスラビアから独立し、激しい内戦を経験したボスニアには、今なお悲惨な紛争の傷跡が残るが、監督はアルマという新たな世代のまなざしを通して、そのネガティブなイメージを刷新した。

監督が心酔するジム・ジャームッシュの代表作『ストレンジャー・ザン・パラダイス』から多大なインスピレーションを受けているという本作は、世界中から優れたインディペンデント映画が集うロッテルダム国際映画祭コンペティション部門でタイガーアワード特別賞を受賞。また、第92回アカデミー賞最優秀国際長編映画部門オランダ代表 に選ばれ、2019サラエボ映画祭ハートオブサラエボ賞、第21回ソウル国際女性映画祭最優秀映画賞を受賞するなど国際的にも高く評価された。


【Story】
少女アルマは、オランダ生まれのボスニア人。両親は戦火に揺れた祖国を離れ、オランダで彼女を育ててきた。やがて父はひとり祖国へ戻り、消息は遠ざかっていた。そんな父が入院したという知らせが届き、母に言われるまま、アルマはたったひとりでボスニアへと向かう。出迎えたのは、終始ぶっきらぼうで何の手助けもしてくれない従兄のエミル。部屋に置き去りにされ、キャリーケースは壊れ、荷物も取り出せず、居場所のない空間に身を持て余す。
そんな時、アパートの扉の前で眠り込んでいた彼女に声をかけたのは、エミルの“インターン”を名乗るデニスだった。彼だけが、彼女の話に耳を傾けてくれるのだが…。ようやく父のいる町を目指し、小さなキャリーケースを引いてバスに乗り込むが、休憩の間にバスは彼女を置き去りにし、荷物だけを乗せたまま走り去ってしまうのだった——。

【見どころ+】
アルマは入院した父親に会うために、キャリアケースひとつででオランダからボスニアへ飛び、従兄のエミルと彼のインターンだという青年デニスと3人で、父が入院している病院がある町・ポドべレジイェを目指すのだが、その旅は予測もつかない様々な出来事が繰り広げられるのが見どころになっている。センディヤレヴィッチ監督のルーツが投影されているというアルマの”素敵などこか”と自身のアイデンティティを探す旅は風まかせのように自由気ままで、どんな結末が待ち受けるのか最後まで目が離せない。またアルマがプールサイドに寝そべるシーンなど、カメラアングルやクローズアップによる斬新なカットも随所にちりばめらているのにも注目だ。サラ・ルナ・ゾリッチが少女と大人の狭間にいるヒロインのアルマを大胆に繊細に演じて新たなヒロイン像で魅了する。また、エミル役のエルナルド・プルニャヴォラツ、デニス役のラザ・ドラゴイェヴィッチも独特な個性のキャラクターを好演している。

【クレジット】
監督・脚本:エナ・センディヤレヴィッチ
撮影:エモ・ウィームホフ 編集:ロット・ロスマーク 衣装:ネダ・ナゲル 音響:ヴィンセント・シンセレッティ 音楽: エラ・ファン・デル・ワウデ
出演:サラ・ルナ・ゾリッチ、エルナド・プルニャヴォラツ、ラザ・ドラゴイェヴィッチ
原題:TAKE ME SOMEWHERE NICE 日本語字幕:上條葉月 提供:クレプスキュール フィルム、シネマ サクセション
配給:クレプスキュール フィルム
2019年/オランダ・ボスニア/オランダ語・ボスニア語/カラー/4:3/91分
© 2019(PUPKIN)
9月13日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開