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映画「長崎―閃光の影で―」原爆投下直後の長崎で被爆者救護に奔走した看護学生たちの青春と苦闘
(2025年8月8日10:00)

太平洋戦争末期に日本赤十字社の看護学校に通う看護学生3人が大阪から長崎へ帰省していた1945年8月6日午前11時2分、米軍の原爆投下に遭遇し、地獄のような被災地で懸命に被爆者の救護活動を行う姿を描いた映画「長崎―閃光の影で―」(松本准平監督)が1日から全国公開されている。
本作は「閃光の影で―原爆被爆者救護 赤十字看護婦の手記ー」(日本赤十字社長崎県支部)を原案に、原爆投下後の長崎での医師、看護婦たちの救護活動を看護学生たちの視点で描いている。監督は小雪主演「桜色の風が吹く」(22)などの松本准平。長崎出身の被爆3世で「祖父は三菱に勤め、爆心地から恐らく5キロ程度離れた場所で被爆しましたが、直接的な後遺症はなく、被爆者団体で平和活動をしていました。ただ、私たち孫に原爆について語ることなく、亡くなりました」と語っている。そうした体験が「原爆と向き合う」契機となったという。









ひとりでも多くの被災者を救うために使命を全うしようとする主演の看護学生・田中スミを「月の満ち欠け」(22)で第46回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞し、本作が映画初主演となる菊池日菜子が演じている。スミの幼馴染で人一倍強い信念で救護に当たる大野アツ子役に、「ハケンアニメ!」(22)で第46回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞し、NHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」(25)、日本テレビ系「私の知らない私」(25)などの小野花梨。同じく看護学校の同級生でクリスチャンの岩永サヲ役に映画「沈黙のパレード」(22)やNHK連続テレビ小説「虎に翼」(24)などの川床明日香が演じている。
また、長崎原爆投下の前日を描いた『TOMORROW 明日』(88)の南果歩が再び長崎の物語に重要な役どころで出演。さらに、本作の原案にも体験を寄せた元看護学生のひとりの山下フジヱさんが特別出演し、その山下さんの思いを長崎出身の被爆者・美輪明宏が語りとして声で体現する。
主題歌は、長崎出身の福山雅治が、被爆したが生き続けるクスノキを題材に2014年に発表した「クスノキ」を本作のためにアレンジした「クスノキ-閃光の影で-」のプロデュース・ディレクションを担当。スミ役の菊池日菜子、アツ子役の小野花梨、ミサヲ役の川床明日香の3人が歌唱したバージョンになっている。
【ストーリー】
太平洋戦争末期の1945年、 日本赤十字社の看護学校に通う17歳の田中スミ (菊池日菜子))は、 学友の大野アツ子 (小野花梨)や岩永ミサヲ (川床明日香)とともに、 空襲による休校のため大阪から長崎へ帰郷し、戦時下ながらも青春のひとときを過ごしていた。そうしたなか、8月9日朝、スミが島原の愛野にある祖母の家へと向かう途中、幼なじみの岸本勝 (田中偉登)から赤紙を見せられ「スミの写真欲しか」「来週には出発たい」と告げられる。スミは動揺する気持ちを押さえながら、写真はまた持ってくると約束しその場を立ち去った。アツ子は、日本赤十字社長崎支部に勤務し、ミサヲは、浦上天主堂で告解を済ませ、父 (萩原聖人)と共に家路につく。
そして同日午前11時2分。スミはバスで愛野に向かう途中、原爆の強烈な閃光を目撃する。バスは爆風で大きく揺れ、乗客たちはパニックに。スミはとっさに看護婦として乗客の怪我の手当てをする。長崎市街も壊滅的な被害を受けた。日赤長崎支部は崩壊しアツ子は足を負傷しながらも、婦長・川西トキ子(水崎綾女)の指揮の下、懸命に救護に当たる。浦上天主堂や街も破壊され、ミサヲは瓦礫の中から父を救出する。
スミは、大村海軍病院の軍医の秋山 (渡辺大)、看護婦・五島キョ(呉城久美)と共に、被爆地での救護活動を開始するが、街は一面焼け野原と化し、大やけどを追った人々は水を求めてさまよっていた。
やがて、スミはアツ子、ミサヲと再会を果たし、限られた医療物資のなかで必死に治療にあたる3人。しかし、毎日、多数の命が失われ、怪我人の中には、ガラスの破片が両目に突き刺さり、完全に視力を失った妊婦ハナ(KAKAZU))もいた。未熟ながらも精一杯救護を続ける3人だったが、そのかいもなく次々と命を落としていく人々を目の当たりにし、押し殺していた気持ちを徐々に抑えきれなくなっていくーー。
【見どころ】
原爆投下直後に実際に被爆者の救護に当たった看護師たちの手記に基づいており、リアルで、まさに地獄絵図といった被爆者たちの凄惨な状況や、医療設備や器具、薬品が十分ではない過酷な現場で救護に追われる看護師や医師たちの苦闘が描かれ、改めて、あってはならない原爆の恐ろしさ非道さに目を奪われる。青春真っただ中の看護学生3人が、戦時下とはいえ、恋愛話をしたり屈託なく青春をしている平和なシーンと、8月9日以降の凄惨な被爆地で奔走する3人のあまりにも対照的な姿が衝撃的だ。
広島・長崎への原爆投下と終戦から80年、戦争と被爆の悲惨さや核廃絶、平和について改めて問う作品。
【クレジット】
原案:「閃光の影で―原爆被爆者救護 赤十字看護婦の手記―」(日本赤十字社長崎県支部)
「監督:松本准平
脚本:松本准平 保木本佳子
出演:菊池日菜子、小野花梨、川床明日香、水崎綾女、渡辺大、田中偉登、加藤雅也、有森也実、萩原聖人、利重剛、池田秀一、南果歩、美輪明宏(語り)
主題歌:「クスノキ ―閃光の影で―」 (アミューズ/Polydor Records) 作詞・作曲:福山雅治 編曲:福山雅治/井上鑑 歌唱:スミ (菊池日菓子) / アツ子 (小野花梨) / ミサヲ (川床明日香)
製作:岩本炯沢 吉田尚剛 荒木宏幸 高田旭人 川村英己 関顕嗣 川畑年弘
企画:中村佳代 プロデュース:鍋島壽夫 マーク服部 プロデューサー: 関顕嗣 ラインプロデューサー: 木村和弘
撮影:灰原隆裕 照明: 川井稔 録音: 紫藤佑弥 大竹修二 美術デザイン: 丸尾知行 衣裳: 森口誠治 ヘアメイク: 清水美穂 特殊メイク造形デザイン: 百武朋 編集: 藤田真一 特殊視覚効果:泉谷修 サウンドデザイン: 紫藤佑弥 助監督: 新谷和弥人 制作担当:小沼秀剛 キャスティング: 岩瀬恵美子 音楽:小野川浩幸
制作プロダクション: SKY CASTLE FILM ふればり
配給:アークエンタテインメント
©2025 「長崎一閃光の影で―」製作委員会
後援: 長崎県 長崎市 公益財団法人 長崎平和推進協会
7月25日(金)長崎先行公開、8月1日(金)より全国公開