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映画
「アイム・スティル・ヒア」軍事独裁政権下で消息を絶った夫の行方を追い続けた妻の壮絶な実話
(2025年8月7日11:00)

ブラジルの軍事独裁政権下で消息を絶った元下院議員の夫の行方を追い続けた妻の実話に基づき、「セントラル・ステーション」(98)などのウォルター・サレス監督が映画化し、アカデミー賞国際長編映画賞、ゴールデングローブ賞主演女優賞などを受賞した「アイム・スティル・ヒア」が8日から公開される。
本作は、軍事独裁政権下の1970年、消息を絶った元下院議員ルーベンス・パイヴァと、夫の行方を追い続けた妻エウニセの実話に基づいている。原作はルーベンスの息子で作家・ジャーナリストのマルセロ・ルーベンス・パイヴァが2015年に発表した回想録「Ainda estou aqui」。幼少期にパイヴァ家とは旧知で、子供たちは友人のサレス監督が、1970年代の「負の遺産」を見つめ直し現代への警鐘の意味も込めて映画化した。









軍に連行されてその後消息不明になった夫の真相を追い続けるうちに、自身も一時身柄を拘束されるなど、自由を奪われ、言葉を封じられても声をあげることをやめず、理不尽な時代に抗い続けたひとりの女性の姿を、美しくも力強い映像で永遠の記憶として刻みつける。
主演のエウニセに、サレス監督作品の常連で。「Love Me Forever or Noever」でカンヌ国際映画祭女優賞を受賞した名優フェルナンダ・トーレス。また、老年期のエウニセをトーレスの実の母であり『セントラル・ステーション』でブラジル人初のアカデミー主演女優賞候補となったフェルナンダ・モンテネグロが演じている。
本作は第81回ヴェネツィア国際映画祭で最優秀脚本賞を受賞。第82回ゴールデングローブ賞でトーレスがブラジル人女優として初めて主演女優賞(ドラマ部門)を受賞。第97回アカデミー賞では、ブラジル映画史上初となる作品賞など3 部門にノミネートされ、国際長編映画賞を受賞した。
【ストーリー】
1970年、軍事独裁政権が支配するブラジル。ビーチで海水浴をしながら、笑いがはじける元国会議員のルーベンス・パイヴァ(ギレルメ・シルヴェイラ)とその妻エウニセ(フェルナンダ・トーレス)、5人の子供たち。平和で幸福で穏やかなシーンから映画が始まる。しかしスイス大使誘拐事件を機に空気は一変、軍の抑圧は市民へと雪崩のように押し寄せる。ある日、ルーベンスは軍に連行され、そのまま消息を絶つ。突然、夫を奪われたエウニセは、 必死にその行方を追い続けるが、やがて彼女自身も軍に拘束され、過酷な尋問を受ける。数日後に釈放されたものの、夫の消息は一切知らされなかった。自由を奪われ、絶望の淵に立たされながらも、 エウニセは真相を追跡することをやめなかった。新聞が「国外に亡命した」と虚偽の報道をするが、エウニセと友人は疑い、弁護士に依頼して人身保護令を申請するなど活動を続け、やがて驚くべき真実に迫っていく。
【見どころ】
ブラジルの軍事独裁政権下に実際に起きた悲劇を題材にしていて、細部にわたってリアルで、軍の問答無用の圧力が降りかかる恐怖や民主主義が蹂躙される実態を生々しく描いている。ブラジルではこの事件で軍事政権関係者が正式に裁かれることはなかったといい、その歴史放置への疑念が映画全体のモチーフになっているとう。また前ボルソナロ政権下での民主主義の後退にも警鐘を鳴らしている。シビリアンコントロールが失われたときの軍部の暴走の恐怖を生々しく描写し、最後まで目が離せない緊迫した展開が続く。
そして、弾圧をかいくぐって様々な形で夫の消息不明の真相を追い続ける妻エウニセをフェルナンダ・トーレスが圧倒的な存在感で演じている。その毅然とした姿が胸を打つ。
【クレジット】
監督:ウォルター・サレス 脚本:ムリロ・ハウザー、エイトール・ロレガ
原作:マルセロ・ルーベン ス・パイヴァ
音楽:ウォーレン・エリス 撮影:アドリアン・テイジド 編集:アフォンソ・ゴンサウヴェス
出演:フェルナンダ・トーレス、セルトン・メロ、フェルナンダ・モンテネグロ
2024 年|ブラジル・フランス|ポルトガル語|137分|カラー|ビスタ|5.1ch 原題:AINDA ESTOU AQUI|英題:I'M STILL HERE|字幕翻訳:原田りえ|映倫:PG12
提供:クロックワークス、プルーク 配給:クロックワークス
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公式X: @imstillherejp https://klockworx.com/movies/imstillhere/
8 月8日(金)新宿武蔵野館ほか全国ロードショー