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映画
河瀨直美監督最新作「たしかにあった幻」 第78回ロカルノ国際映画祭インターナショナル・コンペティション部門にクロージング作品として正式招待決定
(2024年8月6日10:00)


河瀨直美監督の最新作「たしかにあった幻」が、第78ロカルノ国際映画祭(8月6日~8月16日)のインターナショナル・コンペティション部門にクロージング作品として正式招待されることが決定。また、ハピネットファントム・スタジオ配給で、2026年2月に全国公開されることが決まった。
長編第二作『火垂』(00)で第53回ロカルノ国際映画祭国際批評家連盟賞を受賞して以来、翌年、第54回(01)には『きゃからばあ』がコンペティション部門招待。第65回(12)では河瀨監督のパーソナル・ドキュメンタリー5作品(『塵』『垂乳女』『きゃからばあ』『かたつもり』『につつまれて』)をオマージュ上映、河瀨監督がプロデュースしたドキュメンタリー映画『祈‑Inori‑』が新鋭監督部門グランプリを受賞するなど、河瀨監督の才能、眼差しと共鳴し、その国際的評価の礎のひとつとなってきたスイス・ティチィーノ州ロカルノの地で、現地時間8月15日に最新作「たしかにあった幻」のワールドプレミアが実現する。
同作は、小児臓器移植実施施設を舞台に、命のともしびを照らす「愛」の物語。フランスからやってきたレシピエント移植コーディネーター・コリーが、脳死ドナーの家族や臓器提供を待つ少年少女とその家族と関わりながら、命の尊さと向き合う。同時に、突然失踪した恋人の行方を追うコリーの姿を通じて、愛と喪失、希望を描く。
これまで『あん』(15)ではハンセン病を抱える女性、『光』(17)では視力を失っていく男性、『朝が来る』(2020)では特別養子縁組の夫婦を取り上げ、社会的偏見や喪失の中で、他者との関係性を通して救われる「愛のかたち」を描いてきた河瀨監督。本作でも、深い人間ドラマを通じて命と愛の意味を問いかける。
撮影期間は2024年6月から11月。兵庫、大阪、奈良、岐阜、屋久島、パリとロケーションを転々としながら実施された。小児臓器移植に携わる実際の医療関係者たちが、現在の日本が抱える臓器移植の問題点をディスカッションするシーンや、移植手術シーンなどはドキュメントとして撮影され、それをドラマの中に巧みに取り込むことによって物語にリアリティと臨場感を持たせている。
主人公・コリーを演じるのは、ポール・トーマス・アンダーソン監督『ファントム・スレッド』(17)への出演をきっかけに国際的な名声を獲得したヴィッキー・クリープス。臓器移植の現場で命と向き合いながら、失踪した恋⼈の⾜跡を辿る姿は忘れることのできない印象を残す。コリーの恋人であり、突然失踪する迅を演じるのは、若手実力派俳優・寛一郎。静謐な演技の中に宿した鋭さに、誰もが心を奪われるだろう。
河瀨監督の描いてきた「愛のかたち」は、他者と関わり続けることへの根源的な問いかけでもあり、その真摯な追求の姿勢が引き寄せた普遍、リアリティと叙情が奇跡的に同居する本作は、河瀨映画のひとつの到達点。ロカルノ国際映画祭で、映画『たしかにあった幻』は遂に解禁となる。
■監督・脚本:河瀨直美コメント
「この度、映画を本当に愛してやまないロカルノ国際映画祭の選考委員の皆様に本年度のコンペ部門のクロージングフィルムに選んでいただきましたことを大変光栄に思います。思い返せば、2000年公開の「火垂」がロカルノで受賞したことは私にとってとても美しい忘れられない想い出です。25年の月日を経て、またロカルノに戻って来れたことに感謝しています。」
■ロカルノ映画祭のアーティスティックディレクターのGiona A.Nazzaroさんからのメッセージ
「水のように、音を立てずに深く掘り下げ沈黙を恐れず、耳を傾ける映画を作ってくれてありがとう」
【河瀨直美監督プロフィール】
生まれ育った奈良を拠点に映画を創り続ける映画作家。大阪写真専門学校(現ビジュアルアーツ・アカデミー)映画科卒業後、自身のプライベートを掘り下げた自主製作ドキュメンタリー映画『につつまれて』(92)『かたつもり』(94)が山形国際ドキュメンタリー映画祭をはじめ国内外で評価される。その後も、一貫した「リアリティ」の追求はドキュメンタリー・フィクションの域を越え、『萌の朱雀』(97)は史上最年少で第50回カンヌ国際映画祭「カメラ・ドール」、『殯の森』(07)で第60回カンヌ国際映画祭「グランプリ」など世界各国の映画祭での受賞多数。代表作は他にも『2つ目の窓』(14)『あん』(15)『光』(17)『朝が来る』(20)が挙げられる。また、世界に表現活動の場を広げながらも故郷にて2010年から「なら国際映画祭」を立ち上げ、後進の育成にも力を入れる。フランス芸術文化勲章オフィシエの受勲や、ユネスコ親善大使、奈良県国際特別大使を務める他、CM出演、エッセイ執筆、俳優とジャンルにこだわらず活動中。2025年大阪・関西万博ではシニアアドバイザー兼テーマ事業プロデューサーを務め、廃校になった校舎を再構築したシグネチャーパビリオンにて「対話」をテーマにしたパビリオンの運営を行っている。プライベート
ではお米を10 年以上作り続ける。
■ヴィッキー・クリープス コメント
「映画を作るとき、私は目に見えない一本の糸をたどります――夢という大きな織物に織り込まれていく糸です。今回、糸は、私を屋久島の太古の森の奥深くへと導き、そして幼い頃のやさしい心へと連れ戻してくれました。幽霊と現実のあいだの繊細な境界線を歩きながら、私は愛という謎に引き寄せられていきました。
【プロフィール】
1983年ルクセンブルク生まれ。ポール・トーマス・アンダーソン監督の『ファントム・スレッド』(18)でのダニエル・デイ=ルイスとの共演により国際的なブレイクを果たす。『エリザベート 1878』(23)ではオーストリア皇后エリザベートを演じ、2022年カンヌ国際映画祭「ある視点」部門の最優秀演技賞、ヨーロッパ映画賞女優賞、シカゴ国際映画祭シルバー・ヒューゴ賞を受賞。その他の出演作には、M・ナイト・シャマラン監督の『オールド』(21)、ミア・ハンセン=ラヴ監督の『ベルイマン島にて』(22)、マチュー・アマルリック監督の『彼女のいない部屋』(22)、バリー・レビンソン監督の『アウシュヴィッツの生還者』(23)などがあり、幅広い役柄で観客を魅了している。
■寛一郎 コメント
「諸行無常。何かこの作品に込められたテーマのような気がしています。
この作品は自分にとって挑戦でした。言語、さまざまな自然での撮影、新たな人との出会いで、沢山の学びと、この現場でしか体験できない経験をさせてもらいました。
そんな作品がこうしてロカルノ国際映画祭に招待していただいた事を光栄に思います。
関わった沢山の人たちの努力が報われる気がします。
そしてこの作品が世界の人に見て頂けることに喜びを感じています。」
【プロフィール]】
1996年生まれ、東京都出身。2017年に俳優デビュー。同年に公開された映画『ナミヤ雑貨店の奇蹟』で、第27回日本映画批評家大賞の<新人男優賞>を受賞。翌年には『菊とギロチン』で第92回キネマ旬報ベスト・テン<新人男優賞>や第33回高崎映画祭の<最優秀新進男優賞>などを受賞。大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(22/NHK)、映画『月の満ち欠け
』(22)、『せかいのおきく』(23)、『首』(23)、『身代わり忠臣蔵』(24)、『プロミスト・ランド』(24)、『ナミビアの砂漠』(24)、『シサム』(24)、『グランメゾン・パリ』(24)など話題作に数多く出演。2025年はNHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」、米・スカイバウンド×フジテレビ共同制作ドラマ「HEART ATTACK」への出演で話題を呼び、待機作として『爆弾』(25)ほか、NHK後期連続テレビ小説『ばけばけ』で朝ドラ初出演。

【STORY】
国際⼈材交流事業の⼀環で⽇本へやってきたフランス⼈⼥性コリー(ヴィッキー・クリープス)は、臓器の移植を必要とする人と関わるレシピエント移植コーディネーターとして、⽇本で数少ない⼩児⼼臓移植実施施設の病院でサポートスタッフとして働き始める。移植を待つ重症の⼩児を多く受け持つその病院では、限られた⼈員で必死に⽇々の業務をこなし、切実な状況にある患者やその家族と向き合っていた。コリーはそうした厳しい環境の中でも、患者家族をはじめ、従事する医師や看護師、コーディネーター、保育士や院内学級の先生らと触れ合ううちに、移植医療をめぐる⼈々の輪の暖かさを再認識していく。しかし、そんな彼⼥の⼼を⽀えてくれていた屋久島で出逢った恋⼈・迅(寛一郎)が、ある⽇なんの前触れもなく同居していた家から消えてしまう…。
【CREDIT】
出演:ヴィッキー・クリープス、寛一郎
監督・脚本:河瀨直美
音楽:中野公揮
制作:CINÉFRANCE STUDIOS 組画
共同制作:カズモ
配給:ハピネットファントム・スタジオ
© CINÉFRANCE STUDIOS - KUMIE INC - TARANTULA - VIKTORIA PRODUCTIONS - PIO&CO - PROD LAB - MARIGNANFILMS – 2025
公式HP:https://happinet-phantom.com/maboroshi-movie/
公式X:https://x.com/maboroshi_film
2026年2月、全国公開