映画「あんのこと」公開記念舞台挨拶 河合優実、佐藤二朗、稲垣吾郎、入江悠監督登壇

(2024年6月8日20:00)

映画「あんのこと」公開記念舞台挨拶 河合優実、佐藤二朗、稲垣吾郎、入江悠監督登壇
登壇した㊧から入江悠監督、稲垣吾郎、河合優実、佐藤二朗、(8日、東京・銀座の丸の内TOEIで)

映画「あんのこと」(6月8日公開)の公開記念舞台挨拶が8日、都内で行われ、主演の河合優実、共演の佐藤二朗、稲垣吾郎、入江悠監督が登壇した。

本作は2020 年 6 月に新聞に掲載された「少女の壮絶な人生を綴った記事」に着想を得て描く、実話をもとにした衝撃の人間ドラマ。『ビジランテ』や『ギャングース』の入江悠監督が、社会の中で「見えない存在」にされてしまった人々を、鎮魂と後悔の思いを込めて、まっすぐに見つめる渾身の一作。
ドラマ「不適切にもほどがある!」で話題となり、先日、「ナミビアの砂漠」(山中瑤子監督)でカンヌ国際映画祭への初参加でも話題の若手俳優・河合優実が主演を務め、底辺から抜け出そうともがく少女・杏を演じた。また杏を救おうとする型破りな刑事・多々羅を佐藤二朗、2人を取材するジャーナリスト・桐野を稲垣吾郎がそれぞれ演じている。さらに製作陣には、第75回カンヌ国際映画祭でカメラドール スペシャル・メンションを受賞した『PLAN 75』のスタッフが再集結し、現代社会のリアルな縮図を描き出した。

映画「あんのこと」公開記念舞台挨拶 河合優実、佐藤二朗、稲垣吾郎、入江悠監督登壇
河合優実

舞台挨拶で杏を演じた主演の河合は「この作品は自分にとってどんな作品とも比べがたいものなので、皆さんに見てもらうことにすごい意味がある」とこの作品への特別な思いを吐露した。
刑事役の佐藤は「何も考えずにここに来ました」と笑わせ、「本当にシリアスな映画なんで、実際にあったことに基づいた話なんですけど、皆さんの感想がほしいし、をどんどんSNSで広めて頂きたい」とアピールした。
ジャーナリスト役の稲垣は「僕らにとって大切な作品で、皆さんに見ていただいて本当に幸せです。皆さんに大切な映画の仲間に入れていただけると嬉しい」と語った。
入江監督は「もとは一つの新聞記事で、コロナ禍の事件だったんですけど、なかなか抱えきれないものをめぐって、ここにいる素晴らしい俳優さんとスタッフと作ってようやく公開にたどり着きました」といい、「コミュニケーションをとりながら現場で撮影してきたな撮影してきたなと思います。映画観終わったら杏のことを一緒に考えてもらったらうれしいです」と観客に呼びかけた。

その後、司会から凄絶な体験をする主人公の杏のモデルになった実在の女性ハナさんについて聞かれ、河合は「この映画は一つの新聞記事から作られてて、取材されていた方がハナさんという仮名を使われている方で、その方に思いをはせることから始まった」という。「簡単ではなかったですし、撮影の時もハナさんのことを考えていて、監督も皆さんもそうだと思うんですけど、芝居をしているときとか、恐れがずっとありました」と明かした。だが、昨日映画が公開になり「皆さんが語ってくれた感想の言葉を見て、杏さんやハナさんのことを皆さんがすごく真剣に考えてくださっていて、うれしかったです」と語った。

映画「あんのこと」公開記念舞台挨拶 河合優実、佐藤二朗、稲垣吾郎、入江悠監督登壇
佐藤二朗

佐藤は、自身が演じた杏を救おうとする刑事について「ある種の矛盾を抱えた…これはネタバレ大丈夫かな?」と上映前の舞台挨拶だったのでためらったが、稲垣が「大丈夫。すぐ、2時間後にみなさんわかるから」と言って観客を笑わせた。
佐藤は「そういう問題じゃない」とツッコミを入れ、そして「複雑な人間でもあって、矛盾を抱えるのは人間誰でもそうだと思う。やっかいですね」と、そうした複雑な男を演じたことを明かした。稲垣演じるジャーナリストは、そうした刑事のある問題を取材するために刑事と杏に近づいていく。

映画「あんのこと」公開記念舞台挨拶 河合優実、佐藤二朗、稲垣吾郎、入江悠監督登壇
稲垣吾郎

稲垣は「まずこの台本ですよね。事実にも基づいた話だということで台本を読ませていただいたときに、衝撃、動揺ですね。胸が張り裂けそうで」と明かした。そして「その時の想いを大切に忘れずに、撮影中は杏ちゃんの声というか心の叫びもたいなものを一人でも多くの方に伝えたいなという思いでした」と振り返った。

映画「あんのこと」公開記念舞台挨拶 河合優実、佐藤二朗、稲垣吾郎、入江悠監督登壇
入江悠監督

また、入江監督が撮影前に主演の河合に手紙を書いたというエピソードが明かされた。 河合は「この映画をどのような心づもりで撮影しようと思っているのか、どんな態度で作ろうとしているのかなど、大切に触れなければいけない話だからこそ、しっかりと言葉を選んで書いてくれているのがわかる手紙でした。撮影で自分が迷った時にお手紙の内容に立ち返る様な指針を最初に頂きました」と感謝した。

「あんのこと」は、杏の過ごした「瞬間」を切り取り、「生きる」ということに迫る映画。これにちなんで「生きている!」と感じる瞬間をそれぞれ発表した。
佐藤は「晩酌!予想通りだった?」と即答。一方、かなり早起きという稲垣は「朝起きた時に今日も一日始まるな、生きているなと思う。早寝早起きは健康の秘訣。朝起きてペットの世話をしたり散歩をしたり、植物に水をあげたり、部屋の掃除をしたり」と充実のモーニングルーティンを口にした。これに佐藤が「掃除も自分でするの?...吾郎ちゃん、俺と結婚してくれ!」と急に求婚すると、稲垣は「いいですよ」と即答して笑いをとっていた。
「生きている!」と感じる瞬間について河合は「客席に座って、なんていい作品なんだろうと思っている時。作品を観て涙して声を出したくなる時とか、感動の極致にいる時に生きているなあと自分の生命力を感じる」と実感を込めると、佐藤は「さっきの僕の晩酌コメントはカット!僕も感動した時や朝起きた時ですね」と二人の返答を拝借して笑いを起こしていた。

最後に主演の河合は「皆さんの素直に感じるものを受け取ってもらって、皆さんの言葉で作品を語ってください。その言葉に私も勇気をいただくので、『あんのこと』で何かを感じられたら色々な人にそれを伝えてほしいです」と呼びかけた。入江監督も「この映画が沢山の方々に広まって、またこのメンバーで集まって舞台挨拶が出来たらとても嬉しいです」とさらなるヒットに期待を込めていた。

映画「あんのこと」公開記念舞台挨拶 河合優実、佐藤二朗、稲垣吾郎、入江悠監督登壇
「あんのこと」場面写真

【STORY】
21歳の主人公・杏(河合優実)は、幼い頃から母親に暴力を振るわれ、10代半ばから売春を強いられて、過酷な人生を送ってきた。ある日、覚醒剤使用容疑で取り調べを受けた彼女は、多々羅(佐藤二朗)という変わった刑事と出会う。大人を信用したことのない杏だが、なんの見返りも求めず就職を支援し、ありのままを受け入れてくれる多々羅に、次第に心を開いていく。週刊誌記者の桐野(稲垣吾郎)は、「多々羅が薬物更生者の自助グループを私物化し、参加者の女性に関係を強いている」というリークを得て、慎重に取材を進めていた。ちょうどその頃、新型コロナウイルスが出現。杏がやっと手にした居場所や人とのつながりは、あっという間に失われてしまう。行く手を閉ざされ、孤立して苦しむ杏。そんなある朝、身を寄せていたシェルターの隣人から思いがけない頼みごとをされる──。

【クレジット】
出演:河合優実、佐藤二朗、稲垣吾郎、河井青葉、広岡由里子、早見あかり
監督・脚本:入江悠
製作:木下グループ 鈍牛倶楽部 制作プロダクション:コギトワークス 配給:キノフィルムズ
© 2023『あんのこと』製作委員会
公式サイト:annokoto.jp 公式X:@annokoto_movie
6月7日(金)新宿武蔵野館、丸の内TOEI、池袋シネマ・ロサほか全国公開