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映画
「ファッション・リイマジン」 英デザイナー、エイミー・パウニーのサステナブルなライン誕生の秘密
（2023年9月2日12:45）
イギリスのブランド「Mother of Peari」のデザイナー、エイミー・パウニーが立ち上げ、ファッション界で大きな注目を集めたサステナブルなライン「No Frills」を追って衣服の制作現場だけでなく、理想的な素材を求めて英国から地球の裏側にまで旅するエイミーとスタッフを追跡した話題のドキュメント。
エイミーは2017年4月、英国ファッション協議会とファッション雑誌「VOGUE」による、その年の英国最優秀新人デザイナーに選ばれ、賞金10万ポンド（現在のレートで約1800万円）の賞金を得て、自分の生き方のルーツにつながるサステナブルなライン「No Frills」を立ち上げる。
大量消費の真っただ中で目まぐるしく流行が変わるファッション業界で初のサステナブルな（持続可能な）ブランドとして大注目を浴び、業界に変革をもたらした。その注目はマスコミだけに留まらず、当時皇太子だったチャールズ英国王が企画した「キャンペーン・フォー・ウール」10周年記念スカーフのデザインを依頼された。
しかし、そのコレクションデビューの裏には、発表まで18ヶ月というタイムリミットの中、理想の素材を求めて、地球の裏側まで旅することになったエイミーとチームの、たくさんの出会いと挑戦の物語があった――。
出演：エイミー・パウニー（Mother of Pearlデザイナー）、クロエ・マークス、ペドロ・オテギ
監督：ベッキー・ハトナー
2022年｜イギリス｜英語｜カラー｜ヴィスタサイズ｜1時間40分｜日本語字幕：古田由紀子｜原題：Fashion Reimagined
©2022 Fashion Reimagined Ltd
配給：フラッグ 宣伝：ブラウニー＆Co. 映倫区分 :G
公式HP：Fashion-Reimagine.jp Twitter&Instagram：@fashion_reimagine
■見どころ
ファッションといえば人気デザイナーによる奇抜で斬新なデザインとか、スーパーモデルのランウェイとか、高級ブランドの数々など、華麗な夢の世界を想像するが、この映画はそうした既成概念を覆すエイミーのコンセプトやドラマであふれている。
理想の原材料を探して商品担当のクロエとウルグアイまで旅したエイミーは、理想的な環境の羊毛業者に出会う。責任者のペドロの人柄や誠実さにほれ込んだ2人がペドロの羊毛を扱う紡績工場を探して奔走し、ペルーの会社が見つかり。デザインを始めるが、発表3か月前にペルーの会社が降りてしまい、落ち込み迷うエイミーは果たして無事にコレクションを発表できるのかという窮地の中でなかで、活路を見出していく様子はこの映画のハイライトだ。
生き馬の目を抜くファッション業界とは縁遠いとみられていたサステナブルとか、地球の環境問題を重視するエイミーの取り組みは、素晴らしく、ファッションにはほとんど疎い筆者も魅了された。
エイミーは「ファッションは環境問題に直結している」といい、大量生産されて最終的に破棄されることで環境に与える負荷が大きいと指摘。「ファッションを楽しみつつ地球への負担を考慮する」ことを目指す。1980年代と比較すると3倍以上の服が購入されて、半分の期間しか着なくなったという。毎年千億の服が作られて、その5分の3が埋め立て地で処分される。ファッション業界が一つの国だとすると、二酸化炭素の排出量は中国・アメリカに次いで世界で3番目に多いという。そうしたファッション界が抱える問題についてエイミーが語るシーンも注目だ。そしてサステナブルなコレクションをコンセプトに、「オーガニックで追跡可能な原材料」「最小限お水と化学物質」「低い炭素排出量」などを重視し、理想の素材を求めて生産者と会うためにウルグアイに飛ぶなどために精力的に活動していく。
監督はロンドン・ファッション・ウィークを17シーズンにわたって取材し、ファッションやカルチャーのドキュメンタリー映画で受賞しているベッキー・ハトナーで、3年間エイミーに密着してウルグアイ、ペルー、オーストラリアの旅にも同行してコレクション完成までを描き出している。 （9月22日 (金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国ロードショー）