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映画
映画「almost people」プレミア試写会 ⽯井岳⿓監督、加藤拓⼈監督、守屋⽂雄監督、嶺豪一、柳英⾥紗、井之脇海、⽩⽥迪巴耶が登壇
(2023年9月14日23:45)
映画「almost people」(9月30日公開)のプレミアム試写会とティーチインが14日、都内で行われ、⽯井岳⿓監督、加藤拓⼈監督、守屋⽂雄監督と出演俳優の嶺豪一、柳英⾥紗、井之脇海、⽩⽥迪巴耶が登壇して同作について語った。
本作は、精⼒的に映画を撮り続け、多くのファンに⽀持されている横浜聡⼦、⽯井岳⿓、加藤拓⼈、守屋⽂雄監督が、それぞれ喜び、怒り、楽しみ、寂しさといった「感情 の⽋けた4 ⼈の兄弟姉妹」を描いた 1 本の異色の作品。株式会社コギトワークス(本店所在地︓東京都世⽥⾕区、代表取締 役︓関 友彦)が製作した同作は9 ⽉ 30 ⽇のユーロスペース(東京・渋⾕区)を⽪切りに、国内外のミニシアターで世界同時期公開される。
「感情 の⽋けた4 ⼈の兄弟姉妹」の物語というユニークな設定の映画の監督を引き受けたことについて、「”寂しさ”という感情がない次⼥・神尾花⼦(⽩⽥迪巴耶)」の話を担当した守屋監督は「難しそうだけど考え甲斐があるなと思いました。感情がないって何がないのという気持ちになって。でも、作る間にずっとそれを考えなきゃいけないから、すぐ答えが出てしまうようなものだとつまらないなと思うんで、やり甲斐があるなと思って引き受けました」と語った。
「“喜び”という感情が⽋けた次男・神尾太陽(井之脇海)」の話を担当した加藤監督は「ないっていうものを描くのは映画であまりないと思うので、いったいどういう風に物語を構築して、4人の監督で1本の映画にするというのは、どうアプローチすればいいのかなと難しく思ったが、皆で企画をどうしようかという話をしていく中で形が見えてきた」という。
「”怒り”の感情がない長女・神尾⽕⽔⼦(柳英⾥紗)」の話を担当した石井監督は「4人の監督でそれぞれの話を作ることがオムニバス映画ではなくて、新しい試みだと思い賛同した。若い人(監督)と一緒に撮ることがとても刺激的だと思った」と語った。
「“喜び”という感情が⽋けた⻑男・神尾光」(横浜聡⼦監督、試写会には欠席)を演じた嶺は「横浜さん(監督)もどういう気持ちだったのか、お会いした時からずっと”喜び”ってなんですかねと相談していた」という。「横浜さんが『わかんない』って率直におっしゃってて、撮影をやっていくうちに、自分も横浜さんも、なんか『今のかもしれないですね』みたいなシーンがあったりして、シナリオではわからなかったことが見えてきて、今はすごく”喜んで”いるんですけど」と言って笑わせた。
「”怒り”の感情がない」ことに葛藤して”怒り”を抱けそうな場所を探す長女・神尾⽕⽔⼦を演じた柳は、「映画を生きがいとしていて、石井監督の映画を見てカッコイイって映画にあこがれた人間なので、石井監督とご一緒できることがすごく嬉しい」といい、「感情を欠落しているというのが今回のテーマなので、もともと持っているものを無いとするのが難しいというか、どうしたらそう見えるのか課題点」だったと明かした。そして「石井監督はすごく丁寧にお話ししてくださるし、心に密になる演出をしてくださる」と感謝した。
「”楽しさ”がない次男・神尾太陽」を演じた井之脇は「映画が大好きで映画の現場にいるとめちゃめちゃ楽しい。楽しいが増えてきちゃうのをどう抑えようかというのが大変でした」という。同棲している恋⼈のエミ(⽊⻯⿇⽣)と遊園地でメリーゴーランドに乗っても無表情というシーンがあるので「実際に楽しまない笑わないと思って遊園地に行ったら、足を踏み入れた瞬間に笑っていた」と言って笑わさせた。「楽しいが分からなくてもそれ以外の何かで彼の心を満たしているものがあるのではないかとか考えながら演じた」という。
「”寂しさ”という感情がない次⼥・神尾花を演じた⽩⽥は、高校を中退して小さな港町の旅館で働くという設定で「撮影現場自体が寂しさがあって、最少はどうしようわからないという感じだった」といい、「寂しさとか悲しみとか考えることも多かったので、守屋監督にたくさん相談させてもらった」と振り返った。
同作は全世界公開を目標にして、日本だけでなくロンドン、ニューヨーク、トロントでも公開が決まったことに、石井監督は「最初の企画の段階から海外で公開するというということにすごく共感しました。意気込みが大変すばらしいと思いました。単純に面白いとか、つまらないというような映画ではなく、新しい対話をたくさん生む映画だと思いますので日本でだけではなく世界各国でどういう感想や対応が生まれてくるのか楽しみです」と語った。そして、この映画の見どころについて「兄弟ということとか、感情がないということがどういうことなのかがキーワード。映画は世界共通言語だと思いますので、それを問うにあたり非常に重要なテーマを扱っていると思ってます。自分でも意外でしたが、皆(4人の監督)が相談せずにばらばらに撮ったですけど、とても面白い映画になってると思います」と締めくくった。プレミア試写会の上映後にはティーチインが行われた。
■ストーリー
⻑男・神尾光(嶺豪⼀)には、『喜び』がない。新作映画のシナリオを執筆中の彼は、監督からラストシーンの「再会の喜び」を表すセリフがしっくり こないとリライトを求められる。困った光は、主演俳優で友⼈の時男(宇野祥平)と共に、⾔葉を探すため街に出る。⼈々が交わす様々な⾔葉の 中から喜びの感情を捕まえようともがく光。彼らは『喜びの⾔葉』を⾒つけられるのだろうか。
⻑⼥ 神尾⽕⽔⼦(柳英⾥紗)は、『怒り』がないことに葛藤し、⾃ら『怒り』を抱けそうな場所を探していた。社会⾰命を⽬指す⼆⼈の⻘年、星 (諫早幸作)・量(⽊村⽂哉)の率いる「レボル」の元で⾰命の象徴となり、虹(塩塚モエカ)と華(伊澤彩織)の元で多様性の討論会に参 加する。しかし、それらの活動が過激化していく中で、やはり⽕⽔⼦は彼らと同じ“怒り”を共有することができない。渦巻く怒りの中⼼で⼾惑い続け る⽕⽔⼦はじっと世界を⾒つめている。
『楽しさ』がわからない次男 神尾太陽(井之脇海)は、恋⼈のエミ(⽊⻯⿇⽣)と同棲している。メリーゴーランドに乗っても、記念写真を撮って も無表情の太陽に、エミは釈然としない思いを抱えていた。そんなエミは、太陽からプロポーズされた際、「わたしといて本当に楽しい︖」と聞いてしま う。動揺した太陽は埋められない溝をどうにか埋めようともがく。ささいなすれ違いを重ねながらも、⼆⼈の⽇常は続いていく。
『寂しさ』という感情がない次⼥ 神尾花⼦(⽩⽥迪巴耶)は突然⾼校を中退し、⼩さな漁港の旅館で働き始める。その旅館には、不思議と似 た空気を纏った⼈が集まってくる。退学の⼿続きのため花⼦を訪ねた担任教師の藤巻(岩⾕健司)もその⼀⼈だ。その旅館に⽗(邦城⿓明) が現れ、「寂しい思いをさせてごめんな」と何度も謝る。花⼦の感情を理解していない⽗親に苛⽴つ花⼦と、花⼦に共感する藤巻。そんな藤巻を⾒ て花⼦はある提案を持ちかける。
■ クレジット
タイトル︓『almost people』
監督︓横浜聡⼦、⽯井岳⿓、加藤拓⼈、守屋⽂雄
⾳楽︓菊地成孔/新⾳楽制作⼯房
プロデューサー︓関 友彦
脚本︓いながききよたか、加藤拓⼈、守屋⽂雄
主演︓嶺 豪⼀、柳 英⾥紗、井之脇 海、⽩⽥ 迪巴耶
企画・製作・配給︓株式会社コギトワークス 2023 年 / ⽇本 / DCP / カラー / ヨーロピアンビスタ / 5.1ch / 140 分 / PG1
上映劇場:ユーロスペース(東京)、鶴岡まちなかキネマ(⼭形)、シネマテークたかさき(群⾺)、新潟・市⺠映画館シネ・ウインド(新潟)、ほとり座 (富⼭)、⻑野千⽯劇場(⻑野)、シネマスコーレ(愛知)、アップリンク京都(京都)、第七藝術劇場(⼤阪)、元町映画館(兵庫)、 豊岡劇場(兵庫)、横川シネマ(広島)、Denkikan(熊本)、別府ブルーバード劇場(⼤分) PHOENIX CINEMA(London)、Dryden Theatre(Rochester)