ケイト・ブランシェット、カンヌでハイヒールを脱いでイランの女性支援表明

(2023年5月23日12:15)

ケイト・ブランシェット、カンヌでハイヒールを脱いでイランの女性支援表明
エブラヒミ㊧にとんがったトロフィーを贈ったブランシェット(Instagram/@goldenglobes)

ケイト・ブランシェット(54)が、カンヌで開催されたヴァラエティ&ゴールデングローブ賞の授賞パーティーで、イラン出身の女優ザハラ・アミール・エブラヒミ(41)に賞を贈り、イランの女性たちへの支援を表明した。

米PageSixによると、ブランシェットは新しい才能を見せた俳優らを表彰するヴァラエティ&ゴールデングローブ賞の授賞パーティにプレゼンターとして登壇し、「聖地には蜘蛛が巣を張る」(4月14日、日本公開)で昨年の第75回カンヌ国際映画祭女優賞を受賞したエブラヒミにとんがった形のトロフィーを贈り、「これは女性の権利を邪魔するすべての人を刺すためのものです」と”とんがった発言”をして喝さいを浴びたという。そしてブランシェットは、そのトロフィーを股のところで持ってから、空に向かって動かし、「アップ・ザ・バジャイ!」と叫んだという。バジャイは女性自身の意味もあり、女性の権利を掲げたパフォーマンスとみられる。また、「イランの女性たちに敬意を表して」と壇上でハイヒールを脱いだという。

ブランシェットが出演しているワーウィック・ソーントン監督の「The New Boy」(原題)はカンヌ映画祭で「ある視点部門」に出品されている。また、アカデミー賞主演女優賞にノミネートされた「TAR/ター」が日本で上映中。
受賞したエブラヒムは、ブランシェットと壇上で抱き合い「イランが 悲しみ、怒り、嘆きの時にある」とエモーショナルなスピーチをした。頭髪を覆うスカーフを適切につけていなかったとして警察に逮捕されたマサ・アミニさん(22)が数日後に死亡した事件があり、女性を中心とした政府に対する抗議活動が続いており、専門家の中には政権交代が視野に入っていると指摘しているという。

「聖地には蜘蛛が巣を張る」は、イランの聖地マシャドで 2000年から2001 年にかけて16 人もの犠牲者を出した“スパイダー・キラー”と呼ばれたサイード・ハナイによる売春婦連続殺人事件に基づき映画化した作品。エブラヒミが2022 年の第 75 回カンヌ国際映画祭の女優賞、セビリア・ヨーロピアン映画祭主演女優賞を受賞。ストックホルム映画祭で作品賞、主演男優賞を受賞した。
主演の女性ジャーナリストを演じたエブラヒミは、イランで女優として活躍していたが、2008 年にフランスへ亡命。フランスの映像業界で活躍し、2017 年フランス国籍を取得して意欲的に映画に出演している。演技力が高く評価された本作では、主演のみならず、キャスティング・ディレクター、アシスタント・プロ デューサーも兼任している。

ヴァラエティ&ゴールデングローブ賞の今年の受賞者は、エブラヒミのほかに、カンヌ映画祭のコンペ部門に出品されたトッド・ヘインズ監督の新作「May December」に出演しているチャールズ・メルトン、同コンペ部門に出品された映画「Black Flies」で主演と製作を務めたタイ・シェリダン、ハリソン・フォード主演のシリーズ最新作で、カンヌ映画祭のアウト・オブ・コンペティション部門で上映された「インディ・ジョーンズと運命のダイアル」のたシャウネット・レネー・ウィルソンが受賞した。