「ドント・ウォーリー・ダーリン」奇想天外の展開で独特の世界観を見せる”ユートピアスリラー“

(2022年11 月25日21:35)

「ドント・ウォーリー・ダーリン」奇想天外の展開で独特の世界観を見せる”ユートピアスリラー“
「ドント・ウォーリー・ダーリン」(東京・渋谷区のWHITE CINE QUINT)

「ブックスマート 卒業前夜のパーティデビュー」(2019年)で女子高生コンビのぶっ飛び体験を描いて長編監督デビューを飾った女優オリビア・ワイルドの監督第2作。絵に描いたような幸せな生活を送っていた主人公アリスの周りで不気味な現象が次々に起こり、ユートピアのような世界から、やがて予想もできない衝撃的な展開を迎えるスリラー。
主人公のアリスに「ミッドサマー」(2019年)やアカデミー賞助演女優賞にノミネートされた「ストーリー・オブ・マイライフ/私の若草物語」(2019年)などでハリウッドの新進女優として話題作の出演が相次いでいる英女優フローレンス・ピュー。その最愛の夫ジャックにワン・ダイレクションのメンバーでソロのミュージシャンとして活躍し、俳優としても「ダンケルク」(2017年)、「エターナルズ」(2021年)などの話題作に出演しているハリー・スタイルズ。ワイルド監督はアリスの親友のメアリーを演じている。さらにジャックが働く「ヴィクトリー・プロジェクト」の創設者フランクにクリス・パイン、その妻シェリーにジェンマ・チャンなどのキャスト。
同作がきっかけでスタイルズとワイルドが交際に発展し、当時ワルドは俳優のジェイソン・サダイスキと破局していなかったといわれ、主演のピューが2人に不快感を抱いたと報じられたこともあった。また最近になって2人が交際を一時停止したと報じられるなど米芸能サイトをにぎわしたことでも知られる。 アメリカ/122分/原題:Don‘t Worry Darling/ワーナー・ブラザース・ピクチャーズ

■ストーリー

アリス(フローレンス・ピュー)と最愛の夫ジャック(ハリー・スタイルズ)は、1950年代のカリフォルニア州ビクトリーの会社の街に住んでいた。庭付きの広い家に住み隣人の夫婦たちと交流し、一見完璧な生活が保障され幸せな日々を送っていた。そうしたなか、ある日、隣人の女性が家の屋上から飛び降りて赤い服を着た男たちに連れ去られるのを目撃する。アリスはジャックに会社のことを聞くが話さないことになっているといわれる。アリスは街と会社に疑惑を抱くようになり、何が起きているのかを知ろうとするうちに、ジャックの上司で秘密「ヴィクトリー・プロジェクト」の創節者のフランク(クリス・パイン)とその妻シェリー(ジェンマ・チャン)に睨まれ、緊張が高まるうちにジャンクとの完璧な生活に亀裂が生じ、やがて衝撃の展開が待ち受ける。

■見どころbr>
古き良き時代のアメリカの家庭を思わせる豊かで幸福な生活の描写から、その裏に潜む謎の世界の描写が斬新で、アリスが見る幻想的な記憶の映像描写など平和な世界に次第に亀裂が入って行く展開はスリリングで、アリスとジャックはどうなるのか、どんな結末が待ち受けているのかと最後まで目が離せない。フローレンス・ピューが幸福の絶頂から恐怖へと引きずり込まれてゆくヒロインを熱演している。また、ハリー・スタイルズもアリスを愛しながらも会社に忠実なジャックを演じ切って存在感を見せている。オリビア・ワイルドは「ブックスマート 卒業前夜のパーティデビュー」に続いて、本作でも独特の世界観を見せながら上質のエンターテインメントに仕上げている。
(2022年11月11日公開)