「クリエーション・ストーリーズ~世界の音楽シーンを変えた男~」オアシスを発掘した「ポップの大統領」の波乱のロック人生

(2022年10 月20日23:10)

「クリエーション・ストーリーズ~世界の音楽シーンを変えた男~」オアシスを発掘した「ポップの大統領」の波乱のロック人生
「クリエーション・ストーリーズ~世界の音楽シーンを変えた男~」(© 2020 CREATION STORIES LTD ALL RIGHTS RESERVED)

オアシス、ブライマル・スクリーム、ティーンエイジ・ファンクラブ、マイ・ブラッディ・ヴァレンタインなど人気バンドを次々に世に送り出し、1990年代のロックシーンを席巻した「ブリット・ポップ」に大きな役割を果たしたクリエイション・レコーズの創設者アラン・マッギーの自伝を原作に、自らを「President of Pop(ポップの大統領)と呼んだアランの波乱のロック人生を映画化した作品。
製作総指揮はブリット・ポップ・ブームを象徴する映画「トレインスポッティング」(1996年)を監督したイギリス映画界の奇才ダニー・ボイル。主な監督作に「ザ・ビーチ」(1999年)、第81回アカデミー賞の作品賞、監督賞など8部門を受賞した「スラムドッッグ$ミリオネア」(2008年)などがある。
脚本は「トレインスポッティング」の原作・脚本のアーヴィン・ウェルシュで、映画に登場するクリエイション関連のアーティストのほとんどと親しい間柄だという。
監督は「ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ」(1998年)で主役を務めるなど俳優としても活動し、映画監督としても活躍するニック・モラン。モランはオアシスのノエル・ギャラガーをはじめミュージションの友人が多く、イギリスのロックシーンに精通しているという。
アラン・マッギー役に「トレインスポッティング」のスパッド役でブレイクし、「ブラック・ホーク・ダウン」(2001年)、「マッチポイント」(2005年)、「ワンダーウーマン」(2017年)などのイギリス・スコットランド出身の俳優ユエン・ブレムナー。アランを取材する音楽ライター、ジェマ役にスーキー・ウォーターハウス、アランをロサンゼルスのディープな世界に案内するラルフ役にジェイソン・アイザックなどのキャスト。
2020年/イギリス/110分/配給:ポニーキャニオン

「クリエーション・ストーリーズ~世界の音楽シーンを変えた男~」オアシスを発掘した「ポップの大統領」の波乱のロック人生
「クリエーション・ストーリーズ~世界の音楽シーンを変えた男~」(© 2020 CREATION STORIES LTD ALL RIGHTS RESERVED)



■ストーリー

オアシスなど人気ロックバンドを数多く手がけ「世界で最も成功したインディレーベル」といわれたクリエイション・レコーズの創始者として華々しい成功を収めたアラン・マッギー(ユエン・ブレムナー)は、イギリスからロサンゼルスに向かう飛行機の中で悪夢に襲われていた。何が自分を不安にさせるのか。ロスについたアランは高級ホテルのプールサイドでシャンパングラスを手にしながら若い音楽ライター、ジェマ(スーキー・ウォーターハウス)のインタビューを受け、波乱に富んだロック人生について語る。
スコットランドで生まれ育った内気な青年アランはマーク・ボランやデヴィッド・ボウイにあこがれ、セックス・ピストルズの「アナーキー・イン・ザ・UK」を聴いて心酔する。保守的でロック嫌いの父親に出来損ないの息子の烙印を押され殴られたりするが、ある日ロック好きの青年ボビー・ギレスビーとアンドリュー・イネスと出会いロックへの情熱はさらに高まり、イネスとロンドンに引っ越してラフィン・アップルというバンドを結成して音楽活動をスタートする。だが音楽だけでは食べて行けず鉄道会社に就職し恋人のイヴォンヌと結婚。給料でロックファン向けの雑誌を発行し、ライブハウスを始める。そこで出会ったバンドのテレヴィジョン・パーソナリティーズのパンクなパフォーマンスに心を奪われたアランは、同バンドのメンバー、ジョー・フォスターをはじめ友人たちとクリエイション・レコードを設立。天才的な宣伝術と音楽センスを武器にレーベルを発展させていき、90年代になって流行したアシッド・ハウスとドラッグに夢中になり、オフィスでは毎日のようにパーティーを繰り広げた。クリエイションハウスはイギリスを代表するレーベルとなるが、経営は綱渡りで破産の危機を迎える。そうしたなか、たまたま立ち寄ったクラブでオアシスと出会い衝撃を受けたアランは、その場でスカウトして売り出すと瞬く間に大ヒットしてブリット・ポップの寵児に。レーベルは息を吹き返すが、母の死や結婚生活の破綻、レーベルを維持するプレッシャーなどで再び危機を迎える。

「クリエーション・ストーリーズ~世界の音楽シーンを変えた男~」オアシスを発掘した「ポップの大統領」の波乱のロック人生
「クリエーション・ストーリーズ~世界の音楽シーンを変えた男~」(© 2020 CREATION STORIES LTD ALL RIGHTS RESERVED)

■見どころ

青年のアランが心酔した反体制的な歌詞と斬新なファッションで一世を風靡したパンクロックのセックス・ピストルズや、ロンドンで始めたライブハウスでアランを魅了したテレヴィジョン・パーソナリティーズなどから90年代のロックシーンを席巻した「ブリット・ポップ」のオアシスなど数々のロックバンドが描かれ当時の音楽シーンを目と耳で感じる事ができる。そして、アラン・マッギーのジェットコースターのようなロック人生をユエン・ブレムナーが熱演している。ロックを愛しオアシスを発掘するなど天才的なひらめきと卓越したセンスやコカインに溺れる破滅的な一面などが時にユーモラスに、またディープに描かれて、激動のロック人生のドラマに引き込まれる。

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「クリエーション・ストーリーズ~世界の音楽シーンを変えた男~」(左からユエン・ブレムナー、アーヴィン・ウェルシュ、ニック・モラン監督)(© 2020 CREATION STORIES LTD ALL RIGHTS RESERVED)

ニック・モラン監督は「確かにこれはロックンロールを描いた伝記ものです。90年代から届いたポストカードであり、歴史上最高に素敵なイギリスの1ページを思い出させてくれます。しかし、成功したいという意志とそれに伴うダメージや、音楽の周りにある魔法やミステリー、「狂人が成功するのかそれとも成功が人生を狂わせるのか」という鶏か卵かという難問も描いています。同時に、物語が進むにつれ、成長し成熟していく映画でもあります。映画の最初は素朴な喜び、フラストレーション、興奮を描くことから始まり、最後は権力や堕落、運命を狂わす魔法といった、成功が一因となりうる不本意な部分を描きます」と語っている、
(2022年10月21日(金)、新宿シネマカリテほか全国ロードショー)