映画「逝く夏の歌」公開決定 全編8ミリフィルムで撮影された青春記憶と旅立ち

(2022年8月22日16:00)

映画「逝く夏の歌」公開決定 全編8ミリフィルムで撮影された青春記憶と旅立ち
「逝く夏の歌」(©The 7th Poetry Society)

第22回ニッポン・コネクション(ドイツ)にてプレミア上映され好評を博した仙元浩平監督の「逝く夏の歌」が、東京・新宿K’s cinemaにて9月18日から3日間限定公開される。

同作は青春の記憶と旅立ちを描いた作品で、全編8ミリフィルムで撮影された。詩人・中原中也の詩集「山羊の歌」に収録されている同名の詩「逝く夏の歌」にインスパイアされた仙元浩平がオリジナルの物語として着想。青春時代にともに学び遊んだ若者たちが、これから社会に出ていく期待と不安を抱えながら日々を過ごす、そのいつか消えゆく日々を愛おしむようにファイルに映しとっている。

今回、解禁された予告編は、美しいピアノの旋律と共に浜辺を走るナツのカットから幕をあける。「青春の日々はいつまで続くような気がした」とテロップが入り、4人の若者の日常の断片が8ミリフィルムのノスタルジックな映像で捉えられている。
続けて映画評論家の村山匡一郎の「仙元監督の映画愛が散りばめされている」というコメント、さらに、「Asian Movie Pulse」の記者Rouven Linnarzの「旅立ちと別れについての、映画と映像詩の融合による表現」のコメントが挿入されている。

監督の仙元浩平は、ニューヨーク大学映画学科卒業。自主映画製作グループ「第七詩社」主宰し、8ミリフィルムにこだわり継続して作品の制作を続けている。長編が今回初となる仙元は、本作のテーマについて「青春のもののあわれ」と語る。そして「71分というわずかな時間ですが、この映画が美しい夢として見る人の胸に届くのであれば、それは私にとって大きな幸いです」とコメントしている。

ストーリー:ナツとその友人ハル、アキ、フユは4人で演劇の上演を計画している。夏が過ぎゆくにつれて、ナツの周囲ではさまざまな変化が起きつつある。4人もまた、別々の道を進まざるを得ない。いつまでもこのままでいるのが当たり前だったナツは、その変化をもどかしく受け入れながら、もはや2度とないこの「夏」を精一杯に生きようとする。

出演は吉田剛士、佐野日菜汰、秋山みり、岡本恵美、石嶋隆生、桜木洋平、伊藤広大、川手淳平、うつみ敦士、佐竹夏美、渡辺真衣、川口紗弥加。製作・配給:第七詩社。
LACORNE INTERNATIONAL FILM FESTIVAL(フランス)でBest Feature Film受賞、The REEL Recovery Film Festival(アメリカ)入選、Paris Play Film Festival(フランス)入選。

仙元浩平監督は1972年生まれ。東京都出身。ニューヨーク大学映画学科卒業。自主映画製作グループ「第七詩社」主宰。20年以上にわたって8mmフィルムによる自主映画をつくり続けている。国内外での映画祭の受賞多数。
【仙元浩平監督のコメント】
これまで20年以上にわたって自主映画をつくり続けてきましたが、長編は本作が初めてです。劇場公開に至るのもこれが最初の作品で、身が引き締まる思いをしています。作品のテーマは「青春のもののあわれ」。これは私がこれまでの作品において一貫して追い続けてきたものです。一作ごとに、輝かしくも過ぎゆく青春をせめて映画の中だけでは永遠のものとして刻みたいという願いをこめています。フィルムは流れ去っていくけれども、一つひとつのフレームには「永遠」が閉じ込められている、フィルムには儚いものへの愛おしさが宿っている、そんな思いを抱き続けてきました。これが、デジタルではなくフィルムで撮影している最も大きな理由です。本作のハル・ナツ・アキ・フユのような青年を現実に見かけることはないかもしれません。でも彼らは、フィルムの中では喋ったり走ったり、お墓参りをしたり劇を演じたりします。71分というわずかな時間ですが、この映画が美しい夢として見る人の胸に届くのであれば、それは私にとって大きな幸いです。