「アネット」仏映画界の鬼才レオス・カラックス監督のダークファンタジー・ロック・オペラ

(2022年3月31日10:45)

「アネット」仏映画界の鬼才レオス・カラックス監督のダークファンタジー・ロック・オペラ
「アネット」(© 2020 CG Cinéma International / Théo Films / Tribus P Films International / ARTE France Cinéma / UGC Images / DETAiLFILM / Eurospace / Scope Pictures / Wrong men / Rtbf (Télévisions belge) / Piano )(配給:ユーロスペース)

ロックバンド、スパークスのオリジナルストーリーをもとに、アダム・ドライバーとマリオン・コティヤールがほぼ全編セリフを歌う独創的な「ダーク・ファンタジー・ロック・オペラ」。「汚れた血」(1986年)、「ポンヌフの恋人」(1991年)などの作品で「ジャン=リュック・ゴダールの再来」といわれたフランス映画界の鬼才レオス・カラス監督の長編6作目で、「ホーリー・モーターズ」(2012年)以来9年ぶりの新作。フランス・ベルギー・日本・メキシコ合作による2021年の作品で、第74回カンヌ国際映画祭(2021年)のオープニング作品として上映され、カラックスが監督賞を受賞した。

■ストーリーbr>
ロサンゼルス。スタンダップ・コメディアンのヘンリー(アダム・ドライバー)は国際的に有名なオペラ歌手のアン(マリオン・コティヤール)と恋に落ちて結婚する。ヘンリーの人気は結婚後落ち目となり、成功を収めるアンに嫉妬するようになる。やがて2人の間に娘のアネットが生まれる。母親譲りの歌の才能を持ったアネットはやがて舞台で歌うようになり人気者になったことで、ヘンリーはアネットに入れ込み彼女を連れてツアーを行ううちに狂気をはらんで行く。

「アネット」フランス映画界の鬼才レオス・カラックス監督のダークファンタジー・ロック・オペラ
「アネット」(© 2020 CG Cinéma International / Théo Films / Tribus P Films International / ARTE France Cinéma / UGC Images / DETAiLFILM / Eurospace / Scope Pictures / Wrong men / Rtbf (Télévisions belge) / Piano )

■見どころbr>
斬新な映像と奇抜なスト―リーによるミステリアスでダークな世界をスクリーンに繰り広げるユニークなロック・ミュージカルになっている。「スター・ウォーズ」シリーズのカイロ・レン役を初め、アカデミー賞主演男優賞にノミネートされた「マリッジ・ストーリー」(2019年)や「最後の決闘裁判」(2021年)、「ハウス・オブ・グッチ」(同)など話題作出演が目白押しの俳優アダム・ドライバーがミステリアスで狂気をはらんだヘンリーを熱演。「エディット・ピアフ~愛の讃歌~」(2007年)でアカデミー賞主演女優賞を受賞したマリオン・コティヤールがオペラ歌手役で存在感を見せている。
2人は撮影現場で歌っており準備期間のボーカルレッスンが大変だったというが、ヘンリーの皮肉が効いていたりブラックユーモアで笑わせたりするセリフ(歌詞)にも注目だ。そしてアネットが人気者になり、ヘンリーが娘を連れてツアーをするうちに次第に狂い始めていくくだりなど、独特な世界が広がりスクリーンにひきつけられる。アネット役の人形がなんともシュールで幻想的な世界を創出し、この映画のダークなファンタジーを醸し出す。
(4月1日(金)、ユーロスペースほか全国ロードショー)