「パイプライン」韓国の盗油犯罪を初めて題材にした異色のサスペンスアクション

(2022年2月2日17:30)

「パイプライン」韓国の盗油犯罪を初めて題材にした異色のサスペンスアクション
(2月4日(金)より、シネマート新宿ほか全国ロードショー)(© 2021 [CJ ENM, GOM PICTURES, M.o.vera Pictures] All Rights Reserved.)(配給:クロックワークス)

石油のパイプラインに穴をあけて石油を盗む穿孔(せんこう)を行う盗油業界最高の穿孔技術者“ピンドリ”が、数千億ウォンの石油を盗むスポンサーの計画を巨額の報酬で請け負い、危険極まりない作戦を展開するサスペンスアクション。韓国映画界で初めて盗油犯罪を題材にした異色の作品。主人公のピンドリ役に「君に泳げ!」(2013年)やドラマ「応答せよ1997」(2012年)などのソ・イングク、ピンドリに盗油計画をもちかけるスポンサーのゴヌ役に「チャ刑事」(2012年)やドラマ「根の深い木―世宋大王の誓いー」などのイ・スヒョク、ピンドリを騙るチョプセにウム・ムンソク、カウンター役にペ・ダビンなどのキャストで、「マルチュク青春通り」(2004年)などのユ・ハが監督・脚本を務めた。

「パイプライン」韓国の盗油犯罪を初めて題材にした異色のサスペンスアクション
(© 2021 [CJ ENM, GOM PICTURES, M.o.vera Pictures] All Rights Reserved.)

■ストーリー

地下に埋設された巨大な石油のパイプラインに太い特注のドリルを使って穴をあけ大量の石油を盗むカリスマ的盗油師の “ピンドリ” (ソ・イングク)はブランド物のスーツに身を固めスポーツカーに乗り派手にふるまっていた。ある日、数千億ウォンの石油を盗む大計画をぶち上げた大企業の後継者ゴヌ(イ・スヒョク)に指名され、前金5億ウォン(約4750万円)、成功報酬5億ウォンの契約で危険な作戦に合流する。ピンドリの名前を騙って仕事をしていたプロの溶接工のチョプセ(ウム・ムンソク)、パイプラインの敷設状況など地下の状況に精通するナ課長(ユ・スンモク)、怪力の人間掘削機“ビッグショベル”(テ・ハンホ)が集められ、拠点のホテルの受付でピンドリらの見張り役のカウンター(ペ・ダビン)も加わり盗油大作戦が開始されるが、彼らを執拗に追跡する景観の存在や、ナ課長が病気で倒れたり、仲間内の裏切りや冷酷なゴヌに脅されるなど計画は難航するなか、リーダー格のピンドリが不屈の戦いを挑む。

■見どころ

主人公のピンドリら人生逆転を夢見る “盗油師”たちが繰り広げる危機一髪の大作戦が、ドタバタあり人情劇ありアッと驚く仕掛けなどが最後までスリリングに展開するアクション・エンターテイメントになっている。そして地下に張り巡らされたパイプラインや盗油犯罪の実態が詳細に描かれているのも見どころになっている。ユ・ハ監督は「この作品に登場する空間や設備などは盗油作戦が実行される地下に存在するために、一般にはなじみがなく、見慣れない光景だろうが」といい「これを観客に受け入れてもらえるよう共同溝、送油管などの制作において美術的な手法でリアリティを出そうとした」と語っている。実際に地下道を掘って作った巨大なセットを手持ちカメラでダイナミックに撮影する手法も駆使されてスケールの大きなエンターテインメントになっている。ちなみにあのザ・ベンチャーズの往年のヒット曲「パイプライン」(1962年)が劇中に使われている。
(2月4日(金)より、シネマート新宿ほか全国ロードショー)