「恋する寄生虫」小松菜奈&林遣都がファンタジックな恋愛劇をリアルに熱演

(2021年11月17日17:20)

「恋する寄生虫」小松菜奈&林遣都がファンタジックな恋愛劇をリアルに熱演
「恋する寄生虫」(東京・渋谷区のWHITE CINE QUINTO)

2016年に発売された作家・三秋縋氏の同名小説を原案に、潔癖症の青年と視線恐怖症の女子高生が恋に落ちるが、その感情は脳内に棲みつく「寄生虫」の仕業だというユニークな設定のファンタジックなラブストーリーを小松菜奈、林遣都のW主演で映画化した。井浦新と石橋凌のベテラン俳優が脇を固めている。監督はCMやミュージックビデオ、現在放送中のNHK大河ドラマ「青天を衝け」のタイトルバック映像などを手掛ける柿本ケンサク。

■ストーリー

極度の潔癖症で人と関わることが出来ない青年・高坂賢吾(林遣都)は洗いすぎて手がただれ、防護服と防護マスクをしてパソコンに向かい、「Silent Night」というコンピューターウィルスを開発しクリスマスイブに仕掛けて混乱を起こすことを計画していた。ある日手袋とマスクをして外出した高坂はバスに乗るが気分が悪くなり、途中下車し路上で吐いて倒れ意識不明になってしまう。そこに偶然通りかかった女子高生の佐薙ひじり(小松菜奈)に助けられる。佐薙は視線恐怖症で不登校になっていた。また自分の脳の中にいる寄生虫が脳を食い尽くして死亡すると思っていた。
後日、高坂は見知らぬ男(井浦新)からコンピューターウィルスをばらまこうとしていることをばらされたくなかったら佐薙と友達になって面倒を見てくれと脅される。そして高坂と佐薙の奇妙な共同生活が始まる。露悪的な態度をとる佐薙に辟易していた高坂だったが、それは自分の弱さを隠すためだと気付き好感を抱くようになる。世界の終わりを願っていたはずの孤独な2人はやがて惹かれ合い恋に落ちてゆくが、それは脳内に寄生する虫のせいだといわれる。

■見どころ

極度の潔癖症の高坂と視線恐怖症で不登校の女子高生佐薙という特異な設定の2人が恋に落ちるというだけでなく、その恋は脳内に寄生する虫によってもたらされた「操り人形の恋」に過ぎないという二重に特異な設定でファンタジックな恋愛劇だが、林遣都と小松菜奈という若手実力派が繊細に大胆に演じていることに加え。井浦新、石橋凌のベテランが存在感を見せてファンタジックなストーリーに確かな真実味をもたらしている。「虫」の存在により一体2人はどうなるのかと目が離せない展開が続く。小松菜奈は「ディストラクション・ベイビーズ」(2016年)のキャバクラ嬢役で見せた熱演で注目され、結婚した菅田将暉とW主演の「溺れるナイフ」(2016年)と「糸」(2020年)、さらには「ムーンライト・シャドウ」(2021年)などで見せたパフォーマンスの確かさや魅力はこの作品でも存在感を発揮している。林遣都も数多くの映画賞で新人賞を受賞した「バッテリー」(2007年)以来数々の映画やドラマで活躍する実力派若手俳優としての演技力を見せて、時にはホラーな雰囲気を醸しながら熱演している。はたして2人の恋は「恋する寄生虫」によるものなのか?はたまた本物の恋なのか?エモーショナルなラストが待ち受ける。
(2021年11月12日より上映中)