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「パラサイト 半地下の家族」 IT社長の豪邸に寄生する貧困一家が巻き起こす予想不能の大騒動

(2020年1月10日)

「パラサイト 半地下の家族」 IT社長の豪邸に寄生する貧困一家が巻き起こす予想不能の騒動
「パラサイト 半地下の家族」 (TOHOシネマズ渋谷)

昨年5月の第72回カンヌ国際映画祭で韓国映画として初めてパルムドール(最高賞)を受賞。今年1月5日の第77回ゴールデングローブ賞では監督賞、脚本賞、外国語映画賞にノミネートされ外国語映画賞を受賞した。韓国の名優ソン・ガンホとポン・ジュノ監督がコンビを組んだ話題の韓国映画。韓国では1000万人以上を動員し、フランスで160万人以上を動員。米国でも2019年の外国語映画興行収入の1位を記録するなど世界的にヒットした。

■ストーリー

半地下の住宅で暮らす貧しいキム一家は全員失業中だったが、長男ギウ(チェ・ウシク)が友人のエリート大学生(パク・ソジュン)の紹介で、有名大学卒業と偽ってIT企業のパク社長(イ・ソンギュン)の高校2年生の娘ダヘ(チョン・ジソ)の家庭教師というめったにない就職先にありつく。大豪邸に出入りして高給をもらうようになったギウは美貌の社長夫人パク・ヨンギョ(チョ・ヨジョン)に巧みに取り入って、妹のギジョン(パク・ソダム)を知人と偽って幼い息子のダソン(チョン・ヒョンジュン)の家庭教師に紹介。さらにはギジョンがワナを仕掛けて社長の運転手を追い出し、父親のギテク(ソン・ガンホ)が運転手になり次々に一家が豪邸に入り込んでいく。やがてその豪邸にはとんでもない秘密があることが発覚して大騒動に発展してゆく。

■見どころ

社会の底辺でたくましく生きているキム一家がベテラン詐欺師も顔負けに策略をめぐらせて裕福な一家を侵食していくところがスリリングでなおかつサスペンスに富んで最後までスクリーンに引き込まれる。ソン・ガンホが貧しい一家の家長役を熱演してドラマを牽引しして圧倒的な存在感を見せている。長男役のチェ・ウシクも巧みに富裕一家に取り入っていくしたたかな青年を熱演。チョ・ヨジョンの優雅だがキム一家にすっかり騙される若く美しく時々英語を交えて気取って話す社長夫人役もはまっていた。

貧困層と富裕層の一家の極端に対照的な描写が韓国社会の貧富の差の問題を鋭くまた笑いもまじえて描いている点も注目される。そしてなんといっても、豪邸で働く家政婦ムングアン(イ・ジョンウン)をめぐる秘密が明らかになるあたりから予想外の展開が次々に起こり結末に向かって爆走していく展開は強烈なインパクトがあり圧倒される。
(2020年1月10日公開)