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「男はつらいよ お帰り寅さん」 時を超えて寅さんの世界がスクリーンに蘇る

(2019年12月27日)

「男はつらいよ お帰り寅さん」 寅さんがスクリーンに蘇る
「男はつらいよ お帰り寅さん」(TOHOシネマズ六本木ヒルズ)

国民的な人気があった松竹の「男はつらいよ」シリーズは、寅さんを演じた渥美清さんが1996年に68歳で死去したのに伴い、没後に製作された49作目「男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花特別編」(1997年)をもって終了した。

あれから22年、第1作の公開から50年という節目に最新作となる50作目が製作された。倍賞千恵子(寅さんの妹・さくら)、前田吟(さくらの夫・博)、吉岡秀隆(息子の満男)は健在だが、渥美さんだけでなく「くるまや」のおいちゃん(下條正巳、2004年没)、おばちゃん(三崎千恵子、2012年没)、隣の印刷工場のタコ社長(太宰久、1998年没)、御前様(笠智衆、1993年没)も鬼籍に入っているだけにどうやってシリーズを復活させるのかと注目されていた。くるまやの面々の現在を描く映像と4Kデジタルでよみがえる寅さんなどの映像がミックスされて新たな「男はつらいよ」が始まる。

■ストーリー

満男(吉岡秀隆)は小説家になり中学3年生の娘と2人暮らしていた。新作の小説の評判は良かったが次回作にはいまいち乗り切れずにいたときに、夢の中に初恋のイズミ(後藤久美子)が現れる。そうしたなか、妻の七回忌の法要で柴又の実家を訪れ、母・さくら(倍賞)、父・博(前田)たちと昔話に話が咲き、数々のマドンナたちと騒動を巻き起こしながらもいつも満男を温かく見守ってくれた伯父の車寅次郎(渥美)との日々が蘇る。さらに満男のサイン会にイズミ(後藤)が現れ再会を喜ぶ。2人は寅さんの昔の恋人リリー(浅丘)のもとを訪れて、寅さんとの秘められた過去を明かされる。

■見どころ

寅さんシリーズの終焉から22年後に50作目を見られるとはだれも考えなかったことだろう。さくらと博と満男は歳をとって49作目からの22年の時間の経過を感じさせるが、スクリーンに寅さんが登場すると、空白の時間がなかったように寅さんに引き込まれ、寅さんシリーズ49作で描かれた寅さんとマドンナたちのドラマ、とらやのファミリーの物語、タコ社長と寅さんのドタバタ劇、笑いと人情など「寅さんの世界」がスクリーンに蘇り、そこに浸って不思議な時間を体験する。
(2019年12月27日公開)