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「カツベン!」 成田凌が活動弁士の波乱のドラマを熱演

(2019年12月13日)

「カツベン!」 成田凌が活動弁士になり活躍する青年を熱演
「カツベン!」(渋谷TOEI)

「Shall we ダンス?」(1996年)、「それでもボクはやっていない」(2007年)などで数々の映画賞を受賞している周防正行監督の5年ぶりの新作。成田凌、黒島結菜、永瀬正敏、高良健吾などのキャストで無声映画時代に映画に合わせて語る活動弁士(通称“カツベン”)の活躍とラブロマンスを描いた話題作。

■ストーリー

子どものころ、活動写真小屋で観た活動弁士に憧れていた染谷俊太郎(成田凌)は、成長してニセ弁士として泥棒一味の片棒を担いでいた。そんな生活に嫌気がさしてある日、トラックに飛び乗り逃亡して、とある町の小さな映画館「青木館」に流れ着く。館主の青木富夫(竹中直人)に雇ってもらい雑用をしながら、スターの活動弁士・茂木貴之(高良健吾)や大酒のみの活動弁士・山岡秋聲(永瀬正敏)らの個性的なカツベンを観ているうちに、やがてカツベンの仕事をもらうチャンスがやってくる。そうしたなか、女優を目指す栗原梅子(黒島結菜)に恋をし、泥棒一味の安田(音尾琢真)から追われるなど、壮絶なドタバタ劇が繰り広げられる。

■みどころ

明治から大正にかけての無声映画の上映では、楽士が音楽を奏でて活動弁士(カツベン)が独特の語り口で内容を説明したり役者のセリフを言ったりして観客を楽しませていた。そのカツベンと映画館の館主や映写技師、楽士、出演俳優の活動ぶりや観客の様子などが再現される。映画館で上映される邦画と洋画の本物そっくりの無声映画は周防監督が撮り下ろしたオリジナルだという。さらには無声映画の名作として知られる坂東妻三郎の「雄呂血」(1925年)の本物のシーンが使われるなど無声映画への監督のオマージュも随所に登場する。
成田凌は今年「チワワちゃん」「翔んで埼玉」「愛がなんだ」「さよならくちびる」「人間失格 太宰治と3人の女たち」と5作品に出演して、第32回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞の石原裕次郎賞新人賞を受賞するなど活躍しているが、「カツベン!」のオーデイションを受けて主役をものにしたという。撮影の4か月前から活動弁士の坂本頼光氏に指導を受けるなど研究と特訓を重ねたというだけあって、迫真のカツベン演技を見せている。また、黒島結菜扮する栗原梅子とののピュアな恋愛ドラマ、追いかけてくる泥棒一味とのドタバタ劇、高良や長瀬が演じる個性あふれる活動弁士など、笑いあり涙ありの見どころ満載のエンターテインメントになっている。
(2019年12月13日公開)