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「決算!忠臣蔵」 赤穂浪士の討ち入りを経費面から描いた異色の時代劇

(2019年11月24日)

「決算!忠臣蔵」
(「決算!忠臣蔵」=TOHOシネマズ渋谷)

これまで何度も映画、テレビドラマ、舞台になっている赤穂浪士四十七士による主君の仇討の実話「忠臣蔵」を、討ち入りの主導者大石蔵之介が残したという決算書(収支報告書)を基に、討ち入りの計画を経費面にスポットを当てて描いた異色の時代劇。大石を堤真一、経理担当の矢頭長介に岡村隆史のほか豪華キャストで、「アヒルと鴨のコインロッカー」(2006年)、「ゴールデンスランバー」(2010年)、「殿、利息でござる!」(2016年)、「忍びの国」(2017年)などを手掛けた中村義洋監督が映画化した。原作は歴史学者で東大大学院の教授山本博文氏の「『忠臣蔵』の決算書」。

■ストーリー

元禄14年(1701年)、赤穂藩の藩主・浅野内匠頭(阿部サダヲ)が江戸城で義憤に駆られて幕府の重臣・吉良上野介に切りつける殺人未遂事件を起こし、浅野は切腹、赤穂藩お取り潰しが命じられる。幕府の処分を不服とする大石蔵之介(堤真一)ら赤穂浪士47人が1年9か月後に吉良邸に討ち入りして吉良の首を取り主君の仇討を果たすという「忠臣蔵」。映画は赤穂城を明け渡して浪人となった大石らが、ひそかに討ち入りを計画して世間の目を欺くために大石が芸者遊びを繰り返すが、経理を預かる矢頭長助(岡村隆史)らは浪人たちの生活費や討ち入りにかかる人件費、武器や装備などをそろえる膨大な経費などを考えて節約を訴え、経費の事でやり合い右往左往しながら討ち入りに向かって突き進んでいく。

■見どころ

大石蔵之介が残した「決算書」によると、討ち入りにかかった予算は791両(約9500万円)だという。予算内で吉良邸討ち入りの”1大プロジェクト“を実現できるのかという視点はまさに現代にも通じる問題で興味深い。赤穂浪士の討ち入りまでのドラマとそれを経済面のやりくりで支えた矢頭長助(岡村隆史)ら経理担当の攻防を描き、「忠臣蔵」を経費の面から描くというこれまでの「忠臣蔵」の映画やドラマにはなかった視点が興味深い。堤、岡村を中心に、濱田岳、横山裕、荒川良々、妻夫木聡、大地康雄、西村まさ彦、木村祐一、西川きよし、石原さとみなど多彩なキャストで、異色の「忠臣蔵」のドラマが繰り広げられる
(2019年11月22日公開)