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「イエスタデイ」 ビートルズが世の中から消えてしまい世界でただ一人ビートルズを知る売れないミュージシャンが起こす奇跡

(2019年10月15日)

「イエスタデイ」 ビートルズが世の中から消えてしまい世界でただ一人ビートルズを知る売れないミュージシャンが起こす奇跡
「イエスタデイ」(TOHOシネマズ渋谷)

ビートルズの存在そのものが消えてしまった世界で、ただ一人ビートルズを知っていた売れないミュージシャンがビートルズの曲を自分の曲として発表したことで巻き起こる騒動を描いたコメディ。「スラムドッグ$ミリオネア」(2008)でアカデミー賞監督賞を受賞したイギリスのダニー・ボイル監督と「ブリジット・ジョーンズの日記」(2001年)や「ラブ・アクチュアリー」(2003年)の脚本を手掛けた脚本家リチャード・カーティスがコンビを組んだ話題作。

■ストーリー

イギリスの小さな海辺の町サフォークで暮らすシンガーソングライターのジャック(ヒメーシュ・パテル)は、幼馴染で親友の中学校教師エリ―(リリー・ジェームズ)がマネージャーになって献身的にサポートしていたが全く売れずに夢をあきらめかけていた。そうしたなか、世界的規模での大停電が起き、ジャックは交通事故に遭って病院に入院する。退院して、エミーら仲間と一緒のときにビートルズの「イエスタデイ」をギターで弾き語りすると、エミーたちは感動していつ作曲したのかと聞く。ビートルズを誰も知らなかった。ビートルズは世界から消えてしまっていて、ジャックしか知らなかったことが分かる。
そうしたなか、ジャックは自分の曲としてビートルズのヒット曲を歌って大ヒットし、エド・シーラン(本人役で出演)にも認められて、スーパースターになっていくが…というストーリー。

■見どころ

ビートルズが世界から消えてしまい、ただ一人知っていた売れないミュージシャンがビートルズの曲を自分の曲として世に発表するという設定がなんともユニークでシャレが効いたエンターテインメントになっている。
ボイル監督は「これはビートルズへのラブレターだ」とコメントしているが、その言葉の通り、ポール・マッカートニー作詞・作曲の名曲「イエスタデイ」をはじめとして「レット・イット・ビー」「ハード・デイズ・ナイト」「ロング・アンド・ワインディング・ロード」「ヘルプ!」「バック・イン・ザ・U.S.S.R」「ヒア・カム・ザ・サン」などなど懐かしのビートルズのヒットナンバーがふんだんに登場する。パフォーマンスそのものは偉大な本物からは当然見劣りがするが、なんとも懐かしくビートルズの偉大さ曲の素晴らしさを再確認させられる映画でもある。

ヒメーシュ・パテルがビートルズの曲で大ヒットして成功していく一方で戸惑い、またエリーへの想いが募って葛藤する心優しいミュージシャンのジャックを熱演している。また「シンデレラ」(2015年)でシンデレラ役を射止めた英女優リリー・ジェイムズが、ジャックを献身的にサポートする親友役を好演。さらにはエド・シーランがこの破天荒なストーリーに乗って本人役で出演し、笑わせたり歌を披露したりして盛り上げているのも見ものだ。
(2019年10月11日公開)