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「真実」 カトリーヌ・ドヌーブとジュリエット・ビノシュが圧倒的な存在感

(2019年10月12日)

「真実」 カトリーヌ・ドヌーブとジュリエット・ビノシュが圧倒的な存在感
「真実」(TOHOシネマズ新宿)

「万引き家族」でカンヌ国際映画祭の最高賞パルムドールを受賞した是枝裕和監督がフランスの大女優カトリーヌ・ドヌーブとジュリエット・ビノシュ、そして米俳優イーサン・ホークを起用した初の国際共同製作作品。是枝監督が監督・脚本・編集を務めた。日本人監督初のヴェネチア国際映画祭のオープニング作品に選ばれるなど国内外で注目されている。

■ストーリー

世界中に名前を知られるフランスの国民的大女優ファビエンヌ(カトリーヌ・ドヌーブ)が、自伝本「真実」を出版して、海外で脚本家として活躍している娘のリュミエール(ジュリエット・ビノシュ)と娘婿の米テレビ俳優ハンク・クーパー(イーサン・ホーク)、孫娘のシャルロット(クレモンティーヌ・グルニエ)らファミリーが出版祝いのために彼女の家に集まる。自伝を読んだ娘のリュミエールは、亡くなった叔母の女優サラ(ファビエンヌの妹)の事が書かれていないことや記述にウソがあると激しく非難したことで、「真実」をめぐって母と娘の愛憎劇やファビエンヌの波乱の女優人生、そこに「サラの亡霊」が絡んでドラマが展開していく。

■みどころ

フランスの名女優カトリーヌ・ドヌーブとジュリエット・ビノシュに加えてハリウッドの名優イーサン・ホークという豪華キャストが繰り広げる「真実」をめぐるドラマは、熟成したフランスワインのような芳醇な香りのするフランス映画の文芸大作といった見ごたえのある作品になっている。
「そして父になる」(2013年)、「海街diary」(2015年)、「三度目の殺人」(2017年)、「万引き家族」(2018年)など斬新な題材とキャストでインパクトのあるドラマを見せてきた是枝監督が、今度は”フランス映画“に挑戦して新たな”是枝マジック“を見せた。<br>
「シェルブールの雨傘」(1963年)、「ロシュフォールの恋人たち」(1967年)、「昼顔」(1967年)などで一世を風靡し、フランスのセザール賞主演女優賞を受賞した「終電車」(1980年)やヨーロッパ映画賞女優賞を受賞した「8人の女たち」(2002年)など数々の名作に主演しフランスの国民的女優として知られるドヌーブが、娘との葛藤、大物女優としてのプライドと撮影現場での女王のような振る舞い、タバコを離さず酒を飲み娘やその夫、さらには長年使える秘書らに向ける皮肉な物言いとその裏に隠した深い愛情など、一つ一つのシーンの演技で圧倒的な存在感を見せている。

そして、米アカデミー賞助演女優賞を受賞した「イングリッシュ・ペイシェント」(1996年)、カンヌ国際映画祭で女優賞を受賞した「トスカーナの贋作」(2010年)などで知られるジュリエット・ビノシュもフランスのトップ女優の存在感を見せていて、2人の華麗な競演も見ものだ。
(2019年11月11日公開)