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「蜜蜂と遠雷」 天才ピアニストの栄光と苦闘&圧巻のピアノ演奏シーン

(2019年10月4日)

「蜜蜂と遠雷」 天才ピアニストの栄光と苦闘&圧巻のピアノ演奏シーン
「蜜蜂と遠雷」 (TOHOシネマズ渋谷)

直木賞と本屋大賞をW受賞した恩田陸の同名小説を松岡茉優、松坂桃李、森崎ウィン、鈴鹿央士らのキャストと石川慶の監督・脚本で映画化した話題作。4人の俳優による迫真のピアノ演奏シーンやピアニストたちの壮絶な闘いがスクリーンに繰り広げられる。

■ストーリー

優勝者が音楽界の寵児になる芳ケ江国際ピアノコンクールに集まった4人のピアニストを中心に物語は展開する。神童といわれながら幼いときに挫折を味わった栄伝亜夜(松岡)は、復活をかけてコンクールに出場した。楽器店に勤務し妻子もいる高島明石(松坂)は、年齢制限もありこれが最後の出場と決めていた。そしてコンクールの大本命といわれていたマサル・カルロス・レヴィ・アナトール(森崎)、著名なピアニスト、ホフマンに見いだされた天才ピアニスト・風間塵(鈴鹿)は、それぞれの思いを抱えながら頂上を目指して壮絶な闘いを繰り広げる。

■みどころ

4人が演じるピアノの演奏シーンが圧巻だ。まるでクラシックのコンサート会場にいるかのような臨場感がある。コンクールの課題曲となった「春と修羅」は、日本を代表する作曲家でロンドンを拠点に活躍している藤倉大のオリジナル曲で、4人の演奏シーンは世界で活躍する日本の最高峰のピアニスト、河村尚子、藤間光太朗、金子三勇士、藤田真央が担当して、まさに極上の曲を最高のピアニストが演奏し、松岡や森崎、鈴鹿らが迫真の演技で演奏シーンを見せている。特にコンクールの本選での松岡ら3人のピアノ演奏は邦画史上例のない精密にしてダイナミックなピアノ演奏シーンになっている。

天才少女としてデビューするも最愛の母親の突然の死でピアノが弾けなくなるが、20歳になり再起にかけて出場を決めた亜夜を松岡が熱演しているのも見どころだ。ピアノシーンの渾身の演技や、過去のトラウマと闘う内面を繊細に演じている。また、鈴鹿央士が16歳の天才ピアニストを奔放に演じている。指から出血するまで鍵盤をたたく鈴鹿の練習や、課題曲の演奏をめぐって悩みぬく亜夜たちの孤独と苦闘。さらにはピアニストが目指すものについて意見をぶつけ合ったりしながら、トップを目指すピアニストたちの壮絶な闘いも見ごたえがある。
(2019年10月4日公開)