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「火口のふたり」 柄本佑×瀧内公美が濃厚過ぎるベッドシーンで男女の深い情念を熱演

8月25日
「火口のふたり」 柄本佑×瀧内公美が濃厚過ぎるベッドシーンで男女の深い情念を熱演
「火口のふたり」(新宿武蔵野館)

直木賞作家・白石一文の同名小説を「君の鳥はうたえる」などで第92回キネマ旬報ベスト・テン主演男優賞を受賞するなど個性的な演技に定評がある柄本佑(43)と、「彼女の人生は間違いじゃない」で第42回報知映画賞などの主演女優賞にノミネートされ注目された瀧内公美(29)のキャストで、キネマ旬報ベスト・テンの脚本賞を5度受賞した荒井晴彦の脚本・監督で実写映画化した意欲作。

■ストーリー

従妹の佐藤直子(瀧内公美)の結婚式に出席するために故郷の秋田に帰省した永原賢治(柄本佑)は、直子と久しぶりに再会を果たす。直子の買い物に付き合わされ車の運転をしてスーパーに行き、直子が買ったテレビを彼女が自衛隊の婚約者と結婚後に暮らす新居に運ぶ。そこで直子は昔のアルバムを取り出して賢治に見せる。そこには一糸まとわぬ2人が絡み合うモノクロ写真が何枚も収められていた。2人はかつて情欲に任せて体を重ね合った恋人同士だった。「今夜だけあの頃に戻ってみない?」と直子にいわれ、賢治は断るが直子に迫られて昔の情欲がよみがえり、激しく体を求めあう。「今夜限り」から「婚約者が任地から帰ってくるまでの5日間」になり、2人は快楽の深みにはまって時が流れて行き、その先に意外な結末が待ち受ける。

■見どころ

なんといっても柄本と瀧内が全裸で激しく絡み合うエロスの極致ともいうべき様々なパターンのセックスシーンは圧巻で息をのむ。ベッドの上だけでなく、路地裏で、はたまた走行中のバスの中で、ひざに毛布を掛けて賢治の手が直子を激しく攻め、あえぎ上り詰める直子などなど。日活ロマンポルノの名作、宮下順子主演の「赫い髪の女」(神代辰巳監督)などの脚本を担当した荒井ならではの精緻で匂いたつようなエロティシズムが繰り広げられる。柄本が激しく動いて攻め立て、瀧内はバストだけでなくヘアまで露出して文字通り体を張った熱演を見せている。

そして東日本大震災から数年がたつ中での噴火、自身、豪雨などといった今まさに現実的な問題になっている自然災害についても題材として絡んでくる。2人は東日本大震災をどう考えたのか、大災害が起きたときに何をよりどころにしていくのかが2人に問われていくところも見逃せない。
(2019年8月25日)