「居眠り磐音」時代劇初挑戦の松坂桃李が悲運の剣客を熱演

(2019年5月21日)

  • 居眠り磐音
  • 「居眠り磐音」
    (TOHOシネマズ渋谷)

累計2000万部を突破した佐伯泰英のベストセラー時代小説「居眠り磐音」を松坂桃李、木村文乃、芳根京子、江本佑、杉野遥亮、中村梅雀、谷原章介、江本明らの豪華キャストで映画化した本格的時代劇。監督は「釣りバカ日誌」シリーズや「鴨川ホルモー」「超高速!参勤交代」「空飛ぶタイヤ」などのヒット作を手掛けた本木克英。

明和9年(1772年)、主人公の坂崎磐音(松坂)は、幼馴染の小林琴平(柄本佑)、河出慎之輔(杉野)とともに3年間の江戸勤番を終えて九州豊後の関前藩(架空の藩)に戻ってくるが、慎之輔の妻で琴平の妹・舞(宮下かな子)の不貞を伯父に告げられ、激高して斬ってしまう。遺体を引き取りに来た琴平と争いになり琴平が慎之介斬り、さらには坂崎が琴平をなだめようとして斬り合いになり琴平を斬ってしまう大惨事に。坂崎は祝言を間近に控えていた奈緒(芳根)を残して脱藩し、浪人となって江戸でひっそりと暮らしていた。そうしたなか、長屋の大家(中村)の口利きで両替屋・今津屋の用心棒に抱えられたことから、新貨幣をめぐる幕府内の内部抗争に巻き込まれ、卓越した剣の腕を発揮して敵と闘うというストーリー。

幼馴染の3人が遭遇する悲惨な事件と悲恋、その後坂崎が江戸に逃げて浪人になってからのドラマなど起伏に富んだ展開で見ごたえがある。時代劇に初挑戦した松坂はどん底に落ちても明るく優しさを失わず正義漢でしかもめっぽう腕が立つ主人公を熱演している。「ユリゴコロ」「不能犯」「娼年」といったかなり大胆で狂気をはらんだ役柄で役者としての幅を広げ、「孤狼の血」では助演男優賞を総なめにしたが、それらに加えて新たに剣客というジャンルを切り開いた作品として注目される。(2019年5月17日公開)