「オーヴァーロード」 戦争アクションとホラーを組み合わせた斬新な展開

(2019年5月13日)

  • オーヴァーロード
  • 「オーヴァ―ロード」
    (TOHOシネマズ六本木ヒルズ)

「スター・トレック」や「ミッション:インポッシブル」シリーズなどで知られるハリウッドのヒットメーカーJ.J.エイブラム監督が製作を担当して、短編映画「Jerrycan」(2008年)でカンヌ映画祭審査員賞を受賞、「ガンズ&ゴールド」(2013年)で長編監督デビューをはたした新進気鋭のジュリアス・エイヴァリーが監督を務めた異色の戦争ホラーアクション映画。

1944年6月、連合軍のノルマンディ上陸作戦を勝利に導くために、米軍の第101空挺師団は、ドイツ占領下のフランス・シエルブラン村にパラシュートで降り、連合軍の通信を妨害している教会の電波塔を破壊する秘密の任務を命じられる。激しいドイツ軍の攻撃を受け生き残ったフォード伍長(ワイアット・ラッセル)とエド・ボイス二等兵(ジョヴァン・アデボ)ら数名は、村の森で出会ったフランス人女性クロエ(マティルド・オリヴィエ)の家の屋根裏にかくまってもらい作戦決行のチャンスをうかがうが、ドイツ軍将校ワフナー(ピル―・アスペク)率いるナチス軍団が村を制圧していた。そうしたなか、ワフナーを拉致したことをきっかけに、戦闘になりドイツ軍に連れ去られたクロエの幼い弟を救出するためにボイスとクロエらが基地に潜入すると、そこではナチスの恐怖の秘密実験が行われていた。

ボイス二等兵らがドイツ軍の基地に潜入してナチスが秘密裏に行っていた不気味な実験とそれによって生まれた怪物に遭遇してからは、戦争アクション映画から一転しておどろおどろしいホラー映画の様相を見せてスリリングな展開になっていくところが見せ場になっている。正義漢でヒューマニストのボイス二等兵と、幼い弟を守るために命懸けで闘うクロエが心を通わせていくドラマや、残忍なナチス将校、そして秘密の実験を行うナチスの科学者を支える狂気の思想などがからんで最後まで一気に見せる。