「チワワちゃん」スクリーンにはじける青春の爆走と孤独や虚無

(2019年1月20日)

  • チワワちゃん
  • 「チワワちゃん」(渋谷HUMAXシネマ)

「へルタースケルター」「リバース・エッジ」などで知られる漫画家・岡崎京子が1994年に発表した同名の漫画を映画化した異色の青春映画。27歳の新鋭・二宮健が監督を務めた。

都内のクラブを拠点にはじけて遊んでいた若者のグループの中でアイドル的な存在だった「チワワ」と呼ばれていた女性(吉田志織)が、バラバラ遺体となって東京湾で発見されるところから物語は始まる。仲間のミキ(門脇麦)や元カレのヨシダ(成田凌)やナガイ(村上虹郎)たちはそれぞれチワワの思い出を語りだす。

チワワは仲間に挑発されて勢いでクラブのVIP席にいた男が持っていた600万円入ったバッグを盗み、みんなで逃げ出し、その金で豪遊しまくるエピソードや、やがてチワワはモデルとして人気が出るが突然蒸発したり、つかみどころのない彼女の謎めいた短い人生をたどるなかで、青春の夢やセックスや不安や孤独がバブルのように膨らんでは消える。

エネルギーがあふれ出して爆走する若者たちの姿を描くスタイリッシュな映像と予想不能なスリリングな展開で最後まで目が離せない。「愛の渦」(2014年)、「二重生活」(2016年)などで独特な存在感を見せ、「止められるか!俺たちを」(2018年)でブルーリボン賞主演女優賞を受賞した門脇麦がここでも異色の存在感を放っている。また、ヒロイン役の吉田志織をはじめ成田、村上、玉城ティナらがいい味を出してアツイ青春群像劇を繰り広げている。(2019年1月18日公開)