「クリード 炎の宿敵」 息子同士の宿命の死闘の行方

(2019年1月11日)

  • クリード

  • 「クリード 炎の宿敵」
    (TOHOシネマズ新宿)

シルベスター・スタローンの代表作「ロッキー」シリーズの8作目で、アポロ・クリードの息子アドニス・クリード(マイケル・B・ジョーダン)を主人公にしたスピンオフ作品の前作「クリード チャンプを継ぐ男」(2015年)の続編になる。

クリードの父親のアポロは「ロッキー4/炎の友情」(1985年)で、ロシアの王者イワン・ドラゴ(ドルフ・ラングレン)と対戦して倒されそのまま帰らぬ人となったのだったが、なんとその因縁のドラゴの息子ヴィクター(フローリアン・ムンテアヌ)が、ヘビー級世界チャンピオンになったクリードに挑戦状を叩きつける。

ドラゴがトレーナーになりに鍛え上げられウクライナの過酷な環境から勝ち上がってきた怪物ボクサーの挑発に乗って、対戦に前のめりになるクリードだったが、トレーナーのロッキー(スタローン)に反対され、別のトレーナーを探してマッチメイクし、因縁の死闘が始まり衝撃的な結末が待ち受ける。

まさに「ロッキー」シリーズのなかでも究極のファイトだが、製作も担当するスタローンが前作を構想したときに今作のマッチメイクはすでに考えていたのではないか。息子同士の対決を軸にして、クリードとロッキーの師弟の葛藤やクリードと歌手の恋人ビアンカ(テッサ・トンプソン)との結婚などの人間模様。一方、ドラゴはロッキーに敗北(「ロッキー/炎の友情」)したことで、ソ連(当時)の英雄の座から転落して妻(ブリジット・ニールセン)に捨てられ、唯一の希望の息子のヴィクターとの親子関係など、人間ドラマが丁寧に描かれている。前作でアカデミー賞助演男優賞にノミネートされたスタローンのトレーナー役も渋い。4作目で共演して1985年にスタローンと結婚したが87年に離婚して騒がれたニールセンが出演しているのも見逃せない。そしてシリーズの人気を支え続けてきたリアルで壮絶なリング上のファイトシーンはジョーダンやムンテアヌに受け継がれて圧巻のシーンになっている。(1月11日公開)