ビリー・アイリッシュ、サブリナ・カーペンターがトランプ圧勝に言及 「女性を深く憎んでいる人がアメリカ合衆国の大統領になろうとしている」

(2024年11月14日21:00)

ビリー・アイリッシュ、トランプ前大統領の圧勝に「女性を深く憎んでいる人がアメリカ合衆国の大統領になろうとしている」
ビリー・アイリッシュ㊧とサブリナ・カーペンター(Instagram/@billieeilish/@sabrinacarpenter)

テイラー・スウィフトやレディー・ガガ、ビヨンセ、ビリー・アイリッシュなど数多くのハリウッドセレブが相次いで民主党候補のカマラ・ハリス副大統領支持を表明したが、11月5日の米大統領選は、トランプ前大統領が激戦7州すべてで勝利する圧勝に終わり、ハリウッドでは落胆の声が広がっている。

米サイトTooFabによると、歌手のビリー・アイリッシュとサブリナ・カーペンターは、トランプ勝利後に行われたコンサートで大統領選について言及した。
アイリッシュは6日、テネシー州ナッシュビルで行われた公演で、トランプ氏が選挙で勝利したことについて、「選挙結果で目が覚めた後、最初はショーを続けることが考えられなかった」と語った。観客の歓声の中、「私といれば安全であること、ここで守られていること、この部屋にいれば安全であることを知ってほしい」と続けたという。「そして今、その人は…有罪判決を受けた捕食者とでも言いますか…神様、私の心臓は速く鼓動しています…女性をとてもとても深く憎んでいる人が、アメリカ合衆国の大統領になろうとしているのです」と訴えたという。

2019年に作家のE・ジーン・キャロル氏が1990年代にトランプ氏からレイプされたと告発。連邦地裁は昨年5月、民事裁判で、トランプ氏の性的暴行を認定した。トランプ氏は暴行を否定してキャロル氏に対する中傷を続けたとして今年1月、ニューヨークの連邦地裁の陪審は、トランプ氏に総額8330万ドル(約123億4000万円)の支払いを命じる評決を下した。トランプ氏は「完全にばかげている」などと反発して控訴する意向を示した。一方、トランプ氏の機密文書穂不適切な保持の疑いと、2000年の大統領選の結果を覆そうとした疑いを捜査し起訴した米司法省のジャック・スミス特別検察官が13日、辞任する見込みだという。トランプ氏は大統領になったら「2秒でクビにする」などと公言していた。トランプ氏返り咲きで、米国の民主主義は危機に瀕しているようだ。

サブリナ・カーペンターは11月6日(現地時間)のシアトル公演で、トランプがカマラ・ハリス副大統領を破ったことに失望を表明した。「逃げるようにここに来たみんな、私たちがあなたたちの平和の瞬間になれることを願っています」と観客に語りかけたという。
「私たちの国と、ここにいるすべての女性に申し訳ない気持ちでいっぱいです」と彼女は続け、「とても、とても、とても、とても、愛しているわ。あなたたちが楽しんでくれることを願っているわ」と語ったという。

米紙ニュヨーク・ポストは選挙前に「トランプ支持」を表明していたが、同紙のクリステン・フレミング氏は、ハリス氏の敗北について、「有権者の大多数が、国は間違った方向に進んでおり、インフレで財政が圧迫されていると言っているとき、政策で悩む必要はないといわんばかりに(ビヨンセらの)歌を提供した」と同紙で指摘した。

投票日の前夜、ハリス氏の集会でTV司会者のオプラ・ウィンフリーが司会し、リッキー・マーティンやレディー・ガガが歌った。ブルース・スプリングスティーンが歌い、ビヨンセはヒューストンの集会に現れた。カーディ・B、ジェニファー・ロペス、ファット・ジョーもハリスの集会で演説した。テイラー・スウィフトは彼女を支持をSNSで表明した。 マーベル映画『アベンジャーズ』の俳優たちは、「民主主義を救う」ためにズームで投票を呼び掛けた。ジョン・ボン・ジョヴィは、ハリスの推薦を受けた歌を発表など、2020年に民主党のバイデン氏が勝利した大統領選を上回るハリウッドセレブのハリス応援が目立った。

■「マノスフィア 」「オルト・ライト」の台頭とトランプ氏返り咲きの関係

選挙前に「トランプ支持」を表明したニューヨーク・ポスト紙は、「ハリスのスローガンが『私たちは後戻りしない』であったにもかかわらず、キャンペーンはデロリアンに乗って2008年へとしっかりと逆戻りした。ハリウッドのA級スターが重要な意味を持っていた頃だ。オバマがトップに立ち、ジュリア・ロバーツやジョージ・クルーニーを選挙キャンペーンに起用することは、重要な有権者、つまりアメリカの中部に住む『ピープル』誌の読者を魅了することを意味していた」と指摘。「しかし、今は2024年であり、ポストコロナの文化的シフトがクローズアップされている。雑誌社や映画スタジオなどの権力は、エンターテインメントと情報の流れを民主化したインターネットの重圧によって崩れ去った」としている。

同紙によると、最近は、ジョー・ローガンや、彼の後に登場したストリーマーやポッドキャスターのような、いわゆる 「マノスフィア 」といわれる人々が影響力を持っているという。
マノスフィアとは、ウィキぺディアによると、男らしさ、女性嫌悪、フェミニズムへの反対を推進するウェブサイト、ブログ、オンラインフォーラムの多様な集まりで、マノスフィア内のコミュニティには、男性の権利活動家(MRA)、 インセル(非自発的独身主義者)、Men Going Their Own Way(MGTOW)、 ナンパ師(PUA)、父親の権利グループなどが含まれるという。
また、マノスフィアは極右や、新たに登場してきた白人ナショナリズムの新しい極右勢力オルト・ライトのコミュニティと重なるという。オンライン・ハラスメントとも関連しており、女性差別主義的な信念や女性に対する暴力の美化に男性を先鋭化させることに関与しているという。これらは、まさしく、女性の権利、人工妊娠中絶の自由や多様性、LGBTQの権利などを主張するリベラルなハリウッドスターたちとは真っ向から対立する存在で、そうした勢力が台頭しているという。アメリカの分断はさらに深まっているようだ。

一方で、民主党会派に所属する左派のバーニー・サンダース上院議員は、「民主党は労働者を捨て、労働者から捨てられた」とバイデン政権の政策を批判したという。インフレ、物価高騰に苦しむ庶民にとって、それを招いた民主党政権から「アメリカを再び偉大に」の保守派の共和党・トランプ前大統領への”政権交代”を望んだ人が少なくなかったとみられる。

イスラエル支持のバイデン政権が、数多くの民間人、子供が犠牲になっているイスラエル軍のガザ攻撃を止められていないことへのパレスティナ系移民の反発。また、不法移民の流入で仕事を奪われている白人たちの不満などが民主党・ハリス候補の2つのアキレス腱になったとも指摘されている。また、黒人層の民主党支持率の低下も指摘された。

来年1月25日の大統領就任式を経て、トランプ政権が正式にスタートするが、「アメリカ・ファースト」のトランプ大統領でアメリカがどう変わっていくのか。また日本への影響など、波乱の幕開けの成り行きが注目される。いずれにしても、民主党は立て直し巻き返しが必要だろうし、あるいは第3の革新勢力が出てくるのかも注目される。そしてハリウッドのリベラル派も、これまで通りにエンターテインメントのパフォーマンスだけでなく、政権を監視し政治的な発言も積極的に続けてほしいものだ。