米俳優ウォーレン・ベイティ、1973年に10代少女への性的虐待で訴えられる

(2022年10 月10日18:30)

米俳優ウォーレン・ベイティ、1973年に10代少女への性的虐待で訴えられる
ウォーレン・ベイティ(Instagram/@warrenbeatty_)

米カリフォルニア州の女性が、「俺たちに明日はない」などで知られる伝説的な俳優で映画監督のウォーレン・ベイティ(85)が1973年、当時14歳の少女に性的虐待をしたとして訴えられた。カリフォルニア州法「ルックバック・ウインドウ」で時効を超えて提訴が可能になったという。米メディアが報じた。

米紙ニューヨーク・ポスト(電子版)によると、「俺たちに明日はない」(1967年)などの映画や監督・主演した「レッズ」(1981年)でアカデミー賞監督賞を受賞したハリウッドの伝説の俳優を訴えたのはクリスティーナ・シャーロット・ハーシュさんで、7日(現地時間)にロサンゼルス上級裁判所に提訴した。

ベイティがロサンゼルスに住んでいた1973年に「有名なハリウッドスターとしての役割、地位、権力を利用して、数ヶ月間にわたって彼女に接近し、手なずけ、搾取し、性的接触を強要した」と主張している。

訴えによると、ハーシュさんは10代のときに、隣人の女性に連れられて彼女が働いていたハリウッドの映画撮影現場に行ったという。そこで当時35歳前後だったベイティと出会った。ベイティはすぐに少女に興味を持ち、電話番号と住所を聞き、ハーシュさんは教えたという。その後、ベイティは、ハーシュさんを誘ってホテルなどで一緒に過ごし、彼女の宿題を手伝ったり、処女を失うことについての話を何度も持ち出したという

ハーシュさんは、ベイティが自分に気があることに「興奮」し、自分が「映画スターと恋愛関係にある」と信じていたと主張している。一緒に過ごした時間の中で、ベイティは「ハリウッドの映画スターという立場と地位を利用して、オーラルセックスなどを強要し、最終的には未成年の子供との性交渉の強要を含む、複数回の原告との性的接触を強要した」と主張している。現在ルイジアナ州に住むハーシュさんは、ベイティと出会ってから受けた心理的、精神的、感情的苦痛に対して、模範的損害賠償と懲罰的損害賠償を求めている。

■カリフォルニア州法「ルックバック・ウインドウ」で時効を超えて提訴可能に

ハーシュさんは、2020年1月1日から3年間、時効を超えて児童の性的虐待の訴えが可能になる“窓”を開いた「ルックバック・ウインドウ」と呼ばれるカリフォルニア州法に基づいて訴えを起こしたという。
2019年、カリフォルニア州は、児童の性的暴行のサバイバーが加害者を訴えるための3年間の窓口を開く新法を制定。原告は時効を超えた性的暴行の訴えを起こすことができるようになったという。この法案が成立する前は、幼少期の性的虐待によって被った損害の回復を求める訴訟は、原告が18歳になったときから8年以内、または原告が自分の傷害が性的虐待によって生じたことを発見したか、合理的に発見するべきだった日から3年以内の、いずれか遅い時点で開始しなければならないことになっていた。また、従来の法律では、これらの訴訟を原告の26歳の誕生日以降に開始することは禁止されており、幼少期の性的虐待の請求から生じる和解契約内の守秘義務条項も禁止されていたという。

ハーシュさんの代理人は、カトリック教会やボーイスカウトが関与する児童性的虐待の訴訟を数多く手がける大手事務所ジェフ・アンダーソン&アソシエイツの弁護士が担当しているという。

■暴露本で「12775人斬り」と書かれる

ベイティはデビュー作の「草原の輝き」(1961年)で共演したナタリー・ウッドや「ギャンブラー」(1971年)で共演したジュリー・クリスティー、「レッズ」(1981年)で共演したダイアン・キートンなどと相次いで浮名を流しハリウッドきってのプレイボーイといわれた。1992年に女優のアネット・ベニングと結婚し、彼女との間に4人の子供がいる。

ベイティは、2010年に発売されたピータービスキング著の暴露本で「12775人斬り」と指摘されて、それ以来ハリウッドの伝説になっていた。「12775人は、昼間の行為や即席の行為、カーセックスや愛撫やキスだけの行為をした女性は含まれていないとみられる」とも暴露本は指摘していた。夜にしっかりと行為をした人数だという。事実なら文句なしにギネス世界記録になる。ベイティは2016年、監督・脚本・出演の映画「ハリウッドスキャンダル」のプロモーションで雑誌のインタビューに応じて、そのことについて初めて言及した。「ぼくがもし12775人の女性と寝たとしたら、1日に何人もの女性を相手にしなくてはならなかったし、しかも同じ相手とは再びする時間はなかっただろうね」とジョークまじりに否定した。さらに「ぼくは誰も欺いたりしたことはないし、いいやつなんだよ」といい、決してプレイボーイではないとアピールした。