スピルバーグ監督、「ウエスト・サイド・ストーリー」のプレミアで米ミュージカル界の巨匠を追悼

(2021年12月1日12:50)

スピルバーグ監督、「ウエスト・サイド・ストーリー」のプレミアで米ミュージカル界の巨匠を追悼
「ウエスト・サイド・ストーリー」のプレミアで勢ぞろいしたスピルバーグ監督(前列左から3人目)とリタ・モレノ(右隣)、レイチェル・ゼグラー(前列左から2人目)、アンセル・エルゴート(前列左端)らキャスト(Instagram/@ westsidestorymovie) ((c)2021 20th Century Studios. All Rights Reserved. )

スティーブン・スピルバーグ監督が伝説の大ヒットミュージカルを映画化した「ウエスト・サイド・ストーリー」のワールドプレミアが11月29日(現地時間)、ニューヨークで開催され、スピルバーグ監督や出演者らが26日(現地時間)に91歳で死去した米ミュージカル界の巨匠スティーブン・ソンドハイムさんを偲んだ。作詞家で作曲家のソンドハイムさんは「ウェスト・サイド物語」の歌曲の作詞など数多くのミュージカルを手掛けた。

スピルバーグ監督、「ウエスト・サイド・ストーリー」のプレミアで米ミュージカル界の巨匠を追悼
スティーヴン・ソンドハイムさん (Instagram/@ sondheimsociety )

米サイト「ET」によると、NYのジャズ・アット・リンカーン・センターのローズ・シアターで行われた豪華なワールドプレミアでは、ソンドハイムさんへの愛と称賛、そして感謝の言葉が尽きることはなかったという。ソンドハイムさんはレナード・バーンスタインが作曲した音楽に合わせて、ブロードウェイで上演された「ウエスト・サイド物語」のオリジナル版の歌詞を書いた。

ミュージカル「ウエスト・サイド物語」は1957年にブロードウエイで初演された大ヒット。1961年にナタリー・ウッド、リチャード・ベイマー、ジョージ・チャキリスなどのキャストで映画化され、アカデミー賞の作品賞、監督賞、ジョージ・チャキリスとリタ・モレノがそれぞれ助演男優賞と助演女優賞を受賞するなどノミネートされた11部門中10部門を受賞した。

スピルバーグ監督は、ソンドハイムさんが長年の恩師であるオスカー・ハマースタインに勧められて「ウェスト・サイド物語」の歌詞を書いたときのエピソードを語った。この作品は、ソンドハイムさんの比類のない演劇キャリアのスタートになったという。「アメリカで最も偉大なソングライターの一人であり、天才的な作詞家・作曲家であり、これまでも最も輝かしいミュージカルドラマをいくつも生み出した、アメリカ文化における偉大な人物」と称えた。
1961年に映画化された「ウェスト・サイド物語」で主演を務め助演女優賞を受賞し、スピルバーグ監督の新作にも出演しているリタ・モレノ(89)は、ソンドハイムさんについて「彼と同じ世代にいたことを光栄に思っています。その場にいて、書かれたままの曲を直接聞くことができる。これは大きな特権です。彼がレコーディングに参加してくれたことをとても嬉しく思っています」と偲んだ。
新作でトニー役を演じるアンセル・エルゴートは、「私たちが彼を祝福していることがとても嬉しいし、彼はすべての私たちの舌の先にいるべき存在だ。ソンドハイムは『私はいつも、メッセージを伝える最もシンプルな歌詞を作りたい 』と言っていました」とエルゴートは振り返り、スピルバーグもパフォーマンスに関してほぼ同じアドバイスをしたと付け加えた。「時には、ストーリーを伝えるために、本当にシンプルにすることが大切です。あまり多くのことをする必要はありません」と語った。

20世紀のアメリカ演劇界で最も称賛されている中心人物の一人であるソンドハイムさんは、1930年にニューヨークで生まれ、ブロードウェイのヒット作である「フォーラムへ行く途中でおかしなことが起きた」(1962年)、「カンパニー」(1970年)、「フォリーズ」(1971年)、「リトル・ナイト・ミュージック」(1973年)、「スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師」(1979年)、「イントゥ・ザ・ウッズ」(1987年)などで知られる作曲家・作詞家です。また、「ジプシー」(1959年)の作詞も担当している。
ソンドハイムさんは、トニー賞9回(2008年のライフタイム・アチーブメント・トニー賞を含む)、アカデミー賞1回、グラミー賞8回、ピューリッツァー賞、ローレンス・オリヴィエ賞、2015年大統領自由勲章を受賞した。夫の舞台俳優ジェフリー・ロムリーと異母兄のウォルター・ソンドハイムの3人で暮らしていた。
スピルバーグ監督の「ウエスト・サイド・ストーリー」は12月10日に米国で公開される。日本は2022年2月11日公開。