「イカゲーム」は金正恩総書記の夢のシナリオだった!?その理由とは?

(2021年11月10日10:30)

「イカゲーム」は金正恩総書記の夢のシナリオだった!?その理由とは?
金正恩総書記(インスタグラムから)

世界中で大ヒットしているNetflixの韓国ドラマ「イカゲーム」は、北朝鮮の金正恩総書記もファンである可能性が高いと北朝鮮の専門家が指摘している。その理由とは?

米紙ニューヨーク・ポスト(電子版)によると、北朝鮮の金正恩総書記にとって、「イカゲーム」は夢のような作品だと関係者が指摘したという。借金まみれの韓国人が、子供向けのゲームをして誰が生き残るか、そして数百万ドルの賞金を獲得するかを競うというNetflixの大人気シリーズ「イカゲーム」。北朝鮮は

北朝鮮の専門家であるマイケル・マデン氏は「金正恩は、韓国が世界に向けてどのように描かれているかに興奮しているに違いない」と同紙に指摘した。「彼はいつも、韓国とアメリカの社会における消費主義について語っています。彼は『イカゲーム』が大好きなはずです」という。

金正恩と彼の家族は、海外から密かに輸入した多種多様な高級品を密かに消費していることで知られているが、西洋の「退廃的なライフスタイル」と呼ばれるものを批判することで知られている5月には、若者の資本主義文化を取り締まる一環として、スキニージーンズや襟足部分の髪を長く伸ばすマレット・ヘアを禁止したと報じられた。北朝鮮の国営メディアは、「イカゲーム」を「極端な競争によって人類を消滅させる韓国の資本主義社会」の「獣性」を示す例だと非難した。また、「強者が弱者を搾取する不平等な社会を示している」としている。「韓国の資本主義社会」を批判する格好の材料になっているので「夢のシナリオ」だということのようだ。

「韓国消失」の著者であるゴードン・チャン氏は、「イカゲーム」と同様に韓国の格差社会を描いたアカデミー賞受賞作品「パラサイト 半地下の家族」を金正恩氏が見ていたのは偶然ではないと指摘する。チャン氏は、韓国の文在寅大統領の左派政権は「民主主義を破壊し、北朝鮮との統一を回復させようとしている」と主張。「映画監督たちも左派で、韓国でアメリカを嫌っている世代の人たちです。彼らは韓国を恐ろしく見せています。実際にはそれほど悪くないのに。北朝鮮はこれを気に入り利用しているのです」と主張した。

しかし、アジア専門家のシーン・キング氏は、「イカゲーム」が長期的には金正恩の勝利に貢献するとは思わないと指摘した。「『イカゲーム』がもたらすのは、他の国の人々が韓国人を自分たちと同じ問題を抱えた人々として見ることができることです。韓国人に共感できる。たとえ悪いイメージを持たれていても、韓国人を人間らしく描いています。それによって彼らは我々と同じような存在になり、長期的には金正恩にとって良いことではありません」と指摘した。「イカゲーム」は金正恩氏も巻き込んで様々な議論を呼んでいるようだ。