ジャンポール・ベルモンドさん死去 88歳 「勝手にしやがれ」「リオの男」「ボルサリーノ」

(2021年9月7日12:00)

ジャンポール・ベルモンドさん死去 88歳 「勝手にしやがれ」「リオの男」「ボルサリーノ」
ジャンポール・ベルモンドさん(インスタグラムから)

映画「勝手にしやがれ」や「リオの男」などで知られフランスを代表する俳優ジャンポール・ベルモンドさんが6日、パリの自宅で死去した。88歳だった。

米紙ニューヨーク・ポスト(電子版)は、1960年に公開されたジャンリュック・ゴダール監督の「勝手にしやがれ」で知られ、全盛期にはマーロン・ブランドやジェームス・ディーンと比較されたフランスのヌーベルバーグの俳優が死去したと報じた。

さらに、「リオの男」(1964年)で演じた誘拐された婚約者の救出に向かう勇敢な飛行士のように、ベルモンドは当時のハリウッドを代表する多くの俳優と同様に、感傷的にならない男らしさを役柄に込めていた。批評家は、ベルモンドが「敏捷性ではダグラス・フェアバンクスを、最後まではらはらさせることではハロルド・ロイドを、不滅性ではジェームズ・ボンドを凌駕した」と賞賛したと指摘した。

「勝手にしやがれ」では、マルセイユで自転車を盗み、追ってきた警官を射殺し、警官に追われるが、パリでアメリカ人のガールフレンド、パトリシア(ジーン・セバーグ)と行動を共にする。やがてパトリシアに警官殺しを知られて通報され、警官に射殺される。ベルモンドさんが演じた自由気ままに衝動的に生きる主人公は若者の共感を呼び、反逆する青春像のシンボル的存在になり、フランスのヌーベルバーグを世界に知らしめ、ゴダール監督を始めクロード・シャブロル(「二重の鍵」59年)、フランソワ・トリフォー(「暗くなるまでこの恋を」70年)、ルイ・マル(「パリの大泥棒」67年)といったヌーベルバーグを代表する監督に重用された。


一方で「大盗賊」(62年)、「リオの男」(64年)、「カトマンズの男」(65年)などで娯楽アクション映画で、ほとんどスタントなしで危険なアクションシーンを演じ、コミカルな味も見せて国民的人気スターとなった。

アラン・ドロンと人気を2分して比較されたが、フランスではベルモンドが一歩リードし、1974年当時、フランスソワール紙が発表したフランスの俳優のギャラ・ランク付けで1位がベルモンド、2位がドロンだった。一時は不仲説も取りざたされたが「ボルサリーノ」(70年)で共演して大ヒットし、「ボルサリーノ2」(74年)が製作された。

私生活では1953年に踊り子ルネ・コンスタンスと結婚して3児をもうけたが65年に離婚。その後、「カトマンズの男」(65年)で共演したウルスラ・アンドレスや「コニャックの男」(71年)で共演したラウラ・アントネリなどとのロマンスを報じられた。2002年にフランスのバレエダンサーで女優のナッティ・ターディヴェルと再婚して女児をもうけたが08年に離婚した。 ベルモンドさんは、2017年にフランスのアカデミー賞と言われるセザール賞の生涯功労賞を受賞した。2010年には、ロサンゼルス映画批評家協会の功労賞を受賞した。ベルモンドさんには、フランスのレーシングドライバーであるポール・ベルモンドを含む4人の子供と孫たちがおり、その多くが芸術の道に進んでいるという。

■スパイク・リー監督がインスタグラムで追悼

「ドゥ・ザ・ライト・シング」や「マルコムX」「ブラック・クランズマン」などで知られるスパイク・リー監督(64)は自身のインスタグラムに、ベルンモンドさんの「勝手にしやがれ」(英題:BREATHLESS)のロビーカード(宣伝素材)の写真を投稿して「フランスの偉大な俳優、ジャンポール・ベルモンドが今日パリで亡くなったとのニュースを読みました。このロビーカードは、私の1作目の「SHE'S GOTTA HAVE IT」(「シーズ・ガッタ・ハヴ・イット」1986年)に大きな影響を与えた、私の大好きな映画「BREATHLESS」(「勝手にしやがれ」)のものです。ベルモンド氏はこのカードに「スパイクへ」とサインしています。映画界の巨匠ジャンリュック・ゴダールのサインも入っています。神のご加護を」と追悼した。