ガル・ガドットの中東和平メッセージをめぐってネット上で大論争

(2021年5月16日12:20)

ガル・ガドットの中東和平メッセージをめぐってネット上で大論争
(和平を呼び掛けたガル・ガドット=インスタグラムから)

イスラエル軍のパレスチナ自治区ガザ地区への600回以上の空爆とパレスチナのイスラム組織ハマスによるイスラエルの主要都市テルアビブへの1600発以上のロケット弾攻撃と双方の攻撃がエスカレートする中、「ワンダーウーマン」で知られるイスラエルの女優ガル・ガドット(36)が中東の和平を望むメッセージをツイッターに投稿した。だが、ガドットが元イスラエル国防軍の兵士だったことからイスラエル軍の”広告塔“だとして非難するツイートや「ガドットの人道的メッセージを非難するのは反ユダヤ主義」などとネット上で論争を巻き起こしている。

米紙ニューヨーク・ポスト(電子版)によると、ガドットは、イスラエルとハマスの間でロケット弾攻撃がエスカレートしていることを受けて12日(現地時間)、「国が戦争状態にある。心が痛む」「これはあまりにも長い間続いている悪循環です」とツイート。
「イスラエルは自由で安全な国として生きるべきであり、我々の隣人も同じように生きるべきです。犠牲者とそのご家族のために祈ります。この想像を絶する敵対関係が終わることを祈ります。私たちのリーダーが解決策を見つけ、私たちが平和に共存できるように祈っています」と紛争の終結を訴えた。

■ガドット非難派「イスラエルと彼女が以前所属した国防軍のプロパガンダ」

ガドットのこのツイートをめぐって、ツイッター・ユーザーの中には、彼女の軍歴を指摘して、ガドットがイスラエルの「民族浄化」や「大量虐殺」を支持していると非難したという。
「ガドットはイスラエル国防軍に2年間所属し、パレスチナの民族浄化(特定の民族を虐殺などでせん滅すること)を目の当たりにしただけでなく、それを積極的に支持した」と非難。米フォックス・ニュースによると、あるユーザーは、「自分が最前線に立ってテロを可能にしているのに、どうしてテロの悪循環を止めるように提唱できるのでしょうか?」と非難したという。またある女性は「私たちがイスラエルと彼女が以前所属した組織のプロパガンダをしているガル・ガドットをボイコットしようと言ったとき、人々は大げさだと言いました。彼女はパレスチナ人という言葉を口にすることもできません。歴史のゴミ箱へ捨てるべき」とツイートした。

■ガドット擁護派「ガドットの人道的な平和への願いのツイートに対する非難は反ユダヤ主義と女性敵視」

一方、ガドットの平和への呼びかけを支持する人もいる、ガドットが18歳から2年間イスラエル国防軍の戦闘トレーナーの職務についていたとされていることに、「ネットはガドットがイスラエル人全員が最低2年間の兵役を義務付けられているIDF(イスラエル国防軍)の退役軍人で、紛争の平和を願う心温まるメッセージを伝える大胆さを持っていたことに怒っている。彼女にリプライした人の中には嫌な人がたくさんいる」とある男性はガドットを擁護した。

また「ガドットの威厳のある人道的な平和への願いのツイートに対する非難はソーシャルメディアが公共の場に持ち込んだ反ユダヤ主義と女性敵視を例示している」という意見もあったという。
共和党のテッド・クルーズ上院議員は、「ガル・ガドットに神のご加護を」と簡潔に彼女への連帯を表明した。ニューヨーク市長候補のアンドリュー・ヤン氏は、左派やパレスチナ人活動家が民主党員の発言を非難したため、親イスラエルのツイートを撤回したという。
ヤン氏を批判している民主党の下院議員アレクサンドリア・オカシオ・コルテス氏は12日(現地時間)、バイデン大統領が「イスラエルには自衛権がある」と発言したことを非難した。「このような発言は、パレスチナ人の追放やアル・アクサへの攻撃など、この暴力の連鎖を引き起こした原因をほとんど考慮せず、パレスチナ人の人間性を奪い、米国が人権侵害を見て見ぬふりをすることを暗示している」とツイートした。一方で、イランの最高指導者ハーメネイー師がパレスチナ人に「敵に立ち向かう」 ことを促したことを受けて、師のツイッターを禁止するよう求める声も高まるなど、中東の戦闘激化がハリウッド女優も巻き込んで論争がヒートアップしている。