「ブラックパンサー」の俳優チャドウィック・ボーズマンさん大腸がんで死去 43歳 がんを公表せず4年間の闘病生活中に映画出演

(2020年8月29日23:50)

映画「ブラックパンサー」などで知られる米俳優チャドウィック・ボーズマンさんが28日(現地時間)、ロサンゼルスの自宅で43歳の若さで死去した。4年前に大腸がんと診断されステージⅣまで進行したが公表せず、闘病生活を送りながら数々の映画に出演していた。

米紙ニューヨーク・ポスト(電子版)によると、ボーズマンさんは、2016年に大腸がんのステージⅢと診断され、その後ステージⅣまで進行していたが、公表していなかった。家族は「チャドウィックはすべて乗り越えて辛抱し、みんなに愛される多くの映画に出演しました。彼は真のファイターでした」などとする声明を発表した。

「マーシャル 法廷を変えた男」(2017年)や「ザ・ファイブ・ブラッズ」(2019年)などの作品は「数え切れないほどの手術と化学療法の間に撮影された」ものだという。

ボーズマンさんは4月にSNSにビデオを投稿したとき、驚くほどやせていたため、ファンは役作りのために意図的に体重を落としたのではないかと思ったという。そうしたなか、ボーズマンさんは「操作 42」の設立を発表するためにビデオを投稿していた、新型コロナウイルスのパンデミックによって最も厳しい打撃を受けたアフリカ系アメリカ人のコミュニティにサービスを提供する病院に保護具を送るための資金調達のための活動を行う計画を進めていた。「42」は、ボーズマンさんが「42~世界を変えた男~」で演じたメジャーリーガー、ジャッキー・ロビンソンの背番号にちなんでつけられたものだという。 当時、彼は近日公開予定のテレビSFシリーズ「ブラックチャイルド」や2022年公開予定の「ブラックパンサーII」への出演が決まっていた。

ボーズマンさんの死去のニュースに全米から追悼の声が集まり、多くの人が病気との闘いにもかかわらず、次から次へと映画に出演していた彼の能力に感嘆の声を上げたという。

「この勇気ある男が末期がんと闘っている間、このような象徴的なパフォーマンスを披露してくれたことに永遠に感謝します」と、マーシャルが設立したNAACP法律防衛基金の会長シェリルリン・イフィルはツイッターで追悼した。



民主党大統領候補のジョー・バイデン前副大統領は「ボーズマンは何世代にもわたって影響を与えた。彼の真の力は 私たちがスクリーンで見たものよりも大きかった"」と追悼した。 「ブラックパンサーからジャッキー・ロビンソンまで、彼は何世代もの世代にインスピレーションを与え、彼らが望むものに何でもなれることを示しました。ジルと私はこの困難な時期に彼の愛する人たちのために祈っています」と彼の死を悼んだ。

■チャドウィック・ボーズマン 1976年11月29日生まれ。サウスカロライナ州アンダーソン出身。ハワワシントンD.C.のハワード大学を卒業し、テレビで脇役をこなしていた。2013年の「42~世界を変えた男~」で黒人初のメジャーリーガー、ジャッキー・ロビンソンを印象的に演じたことで、ハリウッドの注目を集めた。ボーズマンさんはメジャーリーグがジャッキー・ロビンソンを祝う日に亡くなった。当たり役となったマーベルコミックのワカンダ国の若き国王ティ・チャラ役で主演した「ブラックパンサー」は世界中に反響を呼んだ。全世界で13億ドル(約1380億円)の興行収入を記録し、アカデミー賞3部門を受賞するなど大成功を収めた。