米HBO Max「風と共に去りぬ」の配信を再開 奴隷制度を批判する解説付き

(2020年6月25日16:30)

米HBO「風と共に去りぬ」の配信を再開 奴隷制度を批判する解説付き
(「風と共に去りぬ」のヴィヴィアン・リー㊨とレッド・バトラー=インスタグラムから)

黒人男性ジョージ・フロイドさんの白人警官による暴行死事件をめぐって人種差別に抗議するデモが全米に広がる中、米配信サービス「HBO Max」が米奴隷制度を肯定する人種差別的な表現があるとして配信を停止していた古典的名作「風と共に去りぬ」(1939年)について、奴隷制度の問題などを解説する2本の動画付きで24日(現地時間)、配信を再開したことが分かった。

米芸能サイト「TMZ」によると、「風と共に去りぬ」は2本の動画を付けて配信再開されることになった。動画の一つはTCM(ターナー・クラシック・ムービーズ)映画祭の司会者で映画研究家のシカゴ大学教授ジャクリーン-スチュワート氏の解説で「『風と共に去りぬ』を見ることは不快なことである。苦痛でさえある。それでも、ハリウッドの古典的な映画が本来の形で私たちの目に触れ、議論の場として利用できることは重要です。ハリウッド映画は、それが作られた社会の状況を反映しており、今観るときに自分の価値観や信念について考えるように観客を誘ってくれます」などと指摘している。
さらに「ノスタルジアというレンズを通してこの世界を扱うこの映画は、奴隷制度の恐ろしさと、その人種的不平等の遺産を否認している」と付け加えた。

2本目の映像は、この映画の複雑な遺産についての1時間のパネルディスカッションで、2019年4月にTCM映画祭で撮影されたものだという。

米HBO「風と共に去りぬ」の配信を再開 奴隷制度を批判する解説付き
(「風と共に去りぬ」のハティ・マグダニエル㊨とヴィヴィアン・リー=インスタグラムから)

■「風と共に去りぬ」アカデミー賞9部門で受賞した超大作

1936年に出版されたマーガレット・ミッチェルの同名小説を映画化した作品。南北戦争(1861年~65年)の時代を背景にヴィヴィアン・リー演じる南部の女性スカーレット・オハラとクラーク・ゲーブル演じるレッド・バトラーのロマンスを描いた3時間42分の超大作で、全米で空前の大ヒットとなった。第12回アカデミー賞で作品賞・監督賞・主演女優賞(ヴィヴィアン・リー)、助演女優賞(ハティ・マグダニエル)、脚色賞など9部門で受賞した。

スカーレットのメイド役で出演したマグダニエル(上の写真㊨)はアカデミー賞初の黒人受賞者となったが、授賞式では、人種的分離のために、ほかの出演者とは別の席に座らされたという。