奈良岡朋子さん死去 93歳 肺炎 劇団民藝代表 新劇界を代表する女優として活躍

(2023年3月30日12:45)

奈良岡朋子さん死去 93歳 肺炎 芸談民藝代表 新劇界を代表する女優として活躍
奈良岡朋子さん (劇団民藝の公式サイトから)

劇団民藝代表で、数々の舞台、映画、ドラマで活躍した女優の奈良岡朋子さんが23日午後10時50分、肺炎のため都内の病院で死去した。93歳だった。29日、同劇団が発表した。

同劇団の公式サイトでは「劇団民藝代表の俳優・奈良岡朋子(ならおか・ともこ、本名同じ)が、去る3月23日(木)22時50分、肺炎のため東京都内の病院で逝去いたしました。93歳でした。生前のご厚誼を深謝し、謹んでお知らせ致します。」と報告した。
そして「葬儀は近親者のみで3月26日(日)に執り行いました。喪主は姪(実兄の長女)で劇団民藝演出家の丹野郁弓(たんの・いくみ)。」と伝えた。
故人の遺志によりお別れの会などは行わないとしている。

29日より4月5日(水)までの期間限定で、約10分間のドキュメンタリー「ある女優・奈良岡朋子」(2022年製作)を劇団民藝YouTubeチャンネルにて公開するという。(https://youtu.be/DPERsCEFHmM)

1929年12月1日生まれ。東京出身。父は洋画家の奈良岡正夫。1947年、女子美術専門学校(現・女子美術大学)に入学し、舞台装置に興味を持ち演劇部に入る。役者が足りずに出演したのが好評で芝居に興味を持ち始め、在学中の1948年、民衆芸術劇場(第一次民藝)養成所に入所。49年、、民衆芸術劇場が解散し、翌50年に劇団民藝として再結成。51年に大学卒業と同時に入団。父から「芝居をとるか、絵をとるか」と迫られて芝居をとったという。

54年「煉瓦女工」で初主演して以来、「ガラスの動物園」「るつぼ」「思い出のチェーホフ」などに出演。61年初演の「イルクーツク物語」のワーリャ、76年初演「奇跡の人」のアニー・サリバンが当たり役となった。63年、「狂気と天才」「夏の日突然に」で芸術祭奨励賞を受賞したほか、70年に紀伊国屋演劇賞、77年にテアトロ演劇賞など数多くの演劇賞を受賞し、新劇界を代表する女優として活躍した。05年から06年には仲代達矢との共演で「ドライビング・ミス・デイジー」を上演した。
宇野重吉、滝沢修の死後、大滝秀治と劇団民藝の共同代表を務め、大滝の死後代表を務めた。

1952年、新藤兼人監督の「原爆の子」で映画デビュー。同監督の「女の一生」(53年)、「縮図」(同)、「狼」(55年)に出演。日活と民藝が提携した「東京の空の下には」(55年)、「結婚の条件」(62年)などに出演する一方で、今井正監督「夜の鼓」(58年)、山本薩夫監督「荷車のうた」(59年)などの独立プロ作品にも出演。山本薩夫監督「証人の椅子」(65年)で夫殺しの犯人にされた妻に扮して、真実を訴える演技が絶賛されて毎日映画コンクール助演女優賞を受賞。熊井啓監督の「地の群れ」(70年)と黒澤明監督の「どですかでん」(同)で再び毎日映画コンクールの助演女優賞を受賞した。

テレビドラマにも数多く出演し、杉村春子、山岡久乃と野宮の3人姉妹を競演したTBS系「東芝日曜劇場」の74年から始まった「女の家」シリーズが人気を呼んだ。さらにはTBS系「ありがとう」(70~75年)、同「女たちの忠臣蔵」(79年)などの人気ドラマにも数多く出演した。また、NHKラジオ「私の本棚」などで聞かせる朗読が名人芸といわれ、NHK連続テレビ小説「おしん」、同大河ドラマ「篤姫」のナレーションを担当した。