テレ朝五輪番組スタッフ宴会・転落救急搬送 調査内容報告「隣のビルの壁や看板をつたって降りようとした」

(2021年9月7日18:45)

テレ朝五輪番組スタッフ宴会・転落救急搬送 調査内容報告「隣のビルの壁や看板をつたって降りようとした」
調査内容を発表したテレビ朝日(東京・港区)

テレビ朝日は7日、8月8日夜に東京五輪の番組担当スタッフら10人が打ち上げ名目で飲酒を伴う飲み会を行い、女性社員1人が誤って2階から店外に転落して重傷を負い救急搬送された問題について、調査チームによる調査内容を発表した。転落した社員は聴取に「はっきりとは覚えていないが、外に出られないと思い込み、隣のビルの壁や看板をつたって降りようと考えたのだと思う」などと説明したという。処分については10人のうち社員6人は謹慎10日間の処分、スポーツ局長とスポーツセンター長は減給1カ月の処分を科したと発表した。

テレビ朝日は公式サイトで調査結果を文書で発表し「当社スポーツ局のスタッフ10名が緊急事態宣言下における東京都の要請及び社内ルール を無視し、深夜から未明にかけて飲酒を伴う宴席を飲食店で開き、当社社員1名が誤って店 の外に転落して負傷した件に関しまして、不要不急の外出等の自粛を呼びかける立場にありながら著しく自覚を欠く行動があったことを深く反省しております。緊急事態宣言下で 尽力されている皆様をはじめ、店舗など関係各位に多大なご迷惑をおかけしたことを改めて深くお詫び致します」と謝罪した。

事案発生直後に「緊急調査チーム」を設置して、関係者への複数回にわたる聴取を行って詳細を確認して、社内処分と再発防止策を策定したという。

当日の経緯について「10名はいずれも当社スポーツ局所属で20代、社員が6名、社外スタッフが4名。うち社員5 名が8月上旬、当社オリンピック番組の打ち上げとオリンピック後に異動する1名の送別会目的で8日の宴席をメッセージアプリ等で約束した。残る5名には当日の仕事終わり等に声をかけ、合わせて10名となる。

8月8日午後8時:六本木の飲食店にて参加者6名で宴席を開始。その後、負傷した社員(以下当該社員)を含む2名が加わる。午後11時過ぎまで飲酒を伴う飲食。

午後11時半:8名全員が渋谷のカラオケ店に移動し二次会。9日午前2時ごろ2名が加わり10 名となる。カラオケ店では6階の個室で飲食と歌唱」と報告した。

■「左距骨骨折で補助器具なしでの歩行 までおよそ半年の診断」

転落した社員の行動については以下のように報告した。

「午前3時半:当該社員が一人だけ帰宅の意思を示し、個室を出る。社員2名が個室の外まで出てエレベーターの方向に歩いている当該社員を見送る。従って、当該社員以外の9名は当該社員の転落、搬送を目撃していない。

当該社員からの聴取内容

・疲労がたまっていて、酔いが回ってきた意識があり、周りに迷惑をかけてはいけないと 思い、皆より先に帰ろうとした。
・他のお客さんと乗り合わせるのを避けようとエレベーターではなく非常階段を使った。 ・はっきりとは覚えていないが、外に出られないと思い込み、隣のビルの壁や看板をつた って降りようと考えたのだと思う。
・何かをつかんだ後に落ちてしまい、その瞬間に激痛が走って、通行していた方に助けを 求めた。
2 階から転落した当該社員は緊急搬送されて入院した。左距骨骨折で補助器具なしでの歩行 までおよそ半年の診断。手術を経て先ごろ退院し、現在はリハビリを開始した段階」としている。

■「少しならよいではないか」「今日ぐらいいいのでは」という甘えがあった

「当社ではコロナ感染が拡大した直後から、「新型コロナウイルス感染防止策」という形 で社内ルールを明文化しており、その中で『宴席は厳禁』としています。スポーツ局でも 局独自のガイドラインを作成して社内ルールを日ごろから周知徹底していたほか、局員全 員が参加する月1回の局会でも確認をしていました。
今回、宴席に参加した10名も、このルールは認識していましたが、「少しならよいではないか」「今日ぐらいいいのでは」という甘えがあったとしています。10名は現在では、今回の行動が、社会のルール、会社のルールを逸脱し、放送メディアの一員としての自覚 に著しく欠如したものであることを猛省しています。なお、10名とも緊急事態宣言下での 宴席は、今回が初めてだったとしています。
また、事案発生後10名にはPCR検査を行い、全員が陰性と判定されています」という。

■「緊急事態宣言下における社内ルールを改めて徹底」

「事案発生後、当社では緊急事態宣言下における社内ルールを改めて徹底しました。また、 こうしたことを二度と起こさないよう、今後様々なフェーズで研修などを行い、若手社員 には、社会人として、またテレビ局の社員として働くことの責任を改めて意識づけ、再発 防止を図ります」として5年目以下の社員を対象に「社会的規範、就業規則及びそれに準じる社内ルール順守の徹底」し「過去事例を踏まえて、放送に携わるものとしての社会的責任などを再認識させる」としている。

そして「当社といたしましては、事案の調査から判明した当社若手社員に生じていた甘え、その 甘えを原因とした、報道機関で働いているという自覚を著しく欠いた行動を真摯に受け止 め深く反省しております。上述した再発防止策などを通じて、改めて社員教育を徹底して いくことで、視聴者の皆様の信頼回復に努めてまいります。改めまして、多大なご迷惑を おかけした皆様に深くお詫びいたします」と締めくくった。