「カウント・ベイシー」 スウィングジャズの黄金時代を築いたジャズピアニストの人生と音楽

(2026年7月5日11:30)

「カウント・ベイシー」 スウィングジャズの黄金時代を築いたジャズピアニストの人生と音楽 
「カウント・ベイシー」メインビジュアル

ジャズとブルースを融合させ、リズムに革命をもたらし、スウィングジャズの黄金時代を築いたジャズピアニスト、カウント・ベイシーの人生と音楽、そして知られざるプライベートを追う自伝的ドキュメンタリー「カウント・ベイシー」が3日、新宿武蔵野館、YEBISU GARDEN CINEMA、シネマリス ほか全国順次ロードショー公開になった。

ジャズにブルースを持ち込み、リズム革命を引き起こしたカウント・ベイシーは、 “キング・オブ・スウィング”と称され、1930年代以降、スウィングジャズの黄金期を築いた。日本でも多くのジャズファンを虜にし、現在に至るまでリスナーのみならず、ビッグバンドや吹奏楽の各世代の演奏家にも愛され続けている。

本作は、そんな華々しい表舞台での活躍のみならず、これまでベイシー自身があまり語ってこなかった知られざるプライベートにも焦点を当てている。数多のホームムービーや膨大な写真アルバム、手紙等の貴重資料によって、脳性麻痺の障がいを持って生まれた娘ダイアンや、アフリカ系アメリカ人の人権啓蒙運動を初期の頃から支援し、マーティン・ルーサー・キング夫妻とも交流した妻キャサリンへの家族愛が明らかとなる。
また映画には、今も活動を続けるベイシー楽団の面々や、クインシー・ジョーンズやアニー・ロスといった友人たちも登場。彼らが語るベイシー像や、フランク・シナトラやビリー・ホリデイらとの共演等 貴重なアーカイブ資料によって、彼の足跡と20世紀のアメリカの激動の社会史が浮き彫りとなる。

「カウント・ベイシー」 スウィングジャズの黄金時代を築いたジャズピアニストの人生と音楽 
カウント・ベイシー
「カウント・ベイシー」 スウィングジャズの黄金時代を築いたジャズピアニストの人生と音楽 
カウント・ベイシー
「カウント・ベイシー」 スウィングジャズの黄金時代を築いたジャズピアニストの人生と音楽 
べイシー楽団
「カウント・ベイシー」 スウィングジャズの黄金時代を築いたジャズピアニストの人生と音楽 
カウント・べイシーと娘
「カウント・ベイシー」 スウィングジャズの黄金時代を築いたジャズピアニストの人生と音楽 
クインシー・ジョーンズ



カウント・ベイシー は1904年 ニュージャージー州レッドバンク生まれのジャズピアニスト、バンドリーダー。仕事でミズーリ州カンザスシティを訪れた際、多くの一流ミュージシャン達との出会いを経て1928年にブルー・デヴィルズに加入。その後、ベニー・モーテン楽団でも研鑽を積んだ後、自らを冠したベイシー楽団を結成。オール・アメリカン・リズムセクションと讃えられた強力なリズム陣に支えられ、レスター・ヤングを始め優秀なソロイストを前面に黄金時代を築く。戦後まもなく再結成したバンドではクインシー・ジョーンズなど優秀なアレンジャーを起用し「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」などが大ヒット。ふたたびビッグバンド・ジャズの最高峰に君臨。生涯のうち、グラミー賞に20回ノミネートされ、9部門での受賞を誇る。1984年に死去。

ベイシー楽団はカウント・ベイシーによって1935年に結成されたビッグバンド。ベイシー没後の現在も大人気で、昨年結成90周年を迎えた。世界中でライブを行っており、日本にもたびたび来日している。本作にも現在のバンドリーダーであるスコッティ・バーンハートをはじめ多くのメンバーたちが登場し、ベイシーとの思い出を語っている。

本作の監督ジェレミー・マー (1943-2020)は、ロンドン出身の映画監督、作家、プロデューサー。法律を専攻し弁護士の研修を経た後、スレード美術学校とロイヤル・カレッジ・オブ・アートで映画を学んだ。ハーコート・フィルムズを設立し、現在、ワールド・ミュージックと呼ばれている音楽と奏者を紹介する名シリーズ「Beats of the Heart」で名声を確立。ジェームス・ブラウン、ユッスー・ンドゥール、サンタナ、エイミー・ワインハウスなど、生涯にわたり、様々なミュージシャンの音楽ドキュメンタリーを制作した。日本では2006年に『ルーツ・ロック・レゲエ』(1978) が劇場公開されている。

■Jazz関係者のコメント

吾妻光良(The Swinging Boppers リーダー)

「まるで魔法の絨毯に乗っている様だ。」
「演奏していると背筋に電流が流れる。」
ビッグバンド(の様なもの)をやっている私も演奏していて年に一回ぐらい、いや、二年に一回ぐらい、これがスウィングか?というこんな感覚を覚える時があるが、ベイシー楽団はきっと毎回こんな感じだったのだろう。高尚な観賞用音楽ではなくて、年間300日のツアーで人々を躍らせ、楽しませてきたベイシー楽団は最高のリズム&ブルース・バンドだ、と言っても良いだろう。(誉め言葉です)
そしてそのスウィングを作り出すのは技量や編曲の妙だけではなく、ツアーで寝食をともにしている楽団員や、家で待つ家族達との人間関係によって育まれたもので未来永劫、AIには真似できない、と映画は教えてくれる。

ジェントル久保田(Gentle Forest Jazz Band リーダー)
ビッグバンドリーダーとして、大ファンとして、カウント・ベイシーのブルースや、彼の音楽的歴史は反芻し尽くしてきたが、その他の未知を繋ぐ重要なピースがこの映画に詰まっている。
プレイスタイル、逆境への思考、時代の捉え方、賭け、そして家族への思い。
全てを網羅した、ビッグバンド界の「ナイスガイ」を知る貴重な作品。

菅原 正二(ジャズ喫茶ベイシー店主)
カウント・ベイシーってどんな人だったんですか? と訊かれたら、あの演奏通りの人だったと答えることにしていた。
それで分からぬ人にはこれからはまず この映画を観よ! という事にする。
涙と笑いが同時にこぼれるはずだ。

守屋純子(ピアニスト、作曲家、アレンジャー)
ベイシーといえば、いつも明るく最高の笑顔で、指揮やピアノでバンドを鼓舞しているイメージがあります。しかし、彼の私生活は謎に包まれていました。 1年のうち10ヶ月はツアーで各地を回り、家に帰れなかったベイシー。彼が最も大切にしていた「家族との絆」や、「人種差別との戦い」が、手紙や写真、ホームビデオ、友人たちの証言を通して、どんどん立体的に浮かび上がってきます。 ベイシーの新たな一面に触れ、ますます彼と彼の音楽が大好きになりました。

山中千尋(ジャズ・ピアニスト)
人生の山あり、谷あり。どんな時も、音楽はやめられない。
カウント・ベイシーのスウィングは、なぜ底抜けにハッピーで美しいのか。
その秘密が、この映画にあふれている。

【クレジット】
監督:ジェレミー・マー
原題:Count Basie:Through His Own Eyes/2018年/イギリス/英語/75分/カラー/字幕:山口三平
©EAGLE ROCK ENTERTAINMENT LTD
配給:ディスクユニオン/配給協力:ALFAZBET
2026年7月3日(金)より新宿武蔵野館、YEBISU GARDEN CINEMA、シネマリス ほか全国順次ロードショー中