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映画
「シンプル・アクシデント/偶然」 報復殺人をめぐる混乱と正義の行方 世界三大映画祭を制覇したイランの巨匠最新作
(2026年5月7日8:30)

第78回カンヌ国際映画祭のパルムドール受賞など世界三大映画祭すべての最高賞を制覇し、第 98 回アカデミー賞 脚本賞・国際長編映画賞にノミネートされたイランの巨匠ジャファル・パナヒ監督の最新作「シンプル・アクシデント/偶然」が8日から公開される。
かつて不当に投獄されたワヒドは、ある偶然の事故によって、人生を奪った残忍な義足の看守と出会う。ワヒドは咄嗟に男を拘束し、荒野に穴を掘って埋めようとするが、男は「人違いだ」と言う。実はワヒドは、看守の顔を見たことがなかった。男は、本当に復讐相手なのか?一旦復讐を中断し、看守を知る友人を訪ねるが…。
主人公のワヒドにワヒド・モバシェリ、女性カメラマン、シヴァにマルヤム・アフシャリ、エグバルにエブラヒム・アジジ、新婦ゴリにハディス・パクバテン、花婿アリにマジッド・パナヒ、ハミドにモハマッド・アリ・エリヤスメールなどのキャスト。









パナヒ監督は、「チャドルと生きる」(13)でヴェネチア国際映画祭金獅子賞、「人生タクシー」(15)でベルリン国際映画賞金熊賞を受賞し、本作で第 78 回カンヌ国際映画祭でパルムドール(最高賞)を受賞。世界三大映画祭すべての最高賞を制覇、史上 4 人目の快挙となったイランの巨匠ジャファル・パナヒ監督。監督自身の投獄経験や同じ境遇の人々の声から着想を得て映画化。予測不能の物語に渦巻く重厚なスリルと深遠なミステリー、“魂の叫び”がほとばしる衝撃のクライマックス。ユーモアと緊迫感に満ちた、社会派サスペンスの最高峰と国際的に高く評価された。また第83回ゴールでグローブ賞作品賞(ドラマ部門)、監督賞、脚本将、非英語作品賞にノミネート、第60回全米映画批評家協会賞脚本賞受賞などのほかに第98回アカデミー賞の脚本賞、国際長編映画賞(フランス代表)にノミネートされた。
パナヒ監督の「チャドルと生きる」(00)と「オフサイド・ガールズ」(06)はイランの政治体制を批判する内容としてイラン国内で上映禁止になった。2009年の大統領選挙で改革派の工法を支持して保守派の政権と対立しテ2010年3月に自宅で拘束され、第63回カンヌ国際映画祭の審査員に選ばれていたが欠席した。各国の映画人が抗議し同年5月に釈放された、その後禁錮6年の判決が下り、20年間の映画制作・脚本執筆、メディア取材、海外渡航を禁止された。22年7月に再び逮捕され翌年2月に釈放。本作のプロモーション中の25年12月イランの裁判所から懲役1年、2年の渡航禁止、政治団体・社会団体への参加禁止を言い渡されたが映画監督としての活動を続けている。
【ストーリー】
かつて不当に投獄され目隠しされて義足の看守エグバルから残忍な拷問を受けたワヒドは、偶然、看守とみられる男と再会。後をつけて急襲して荒野に穴を掘って埋めようとするが、男は人違いだと主張。躊躇したワヒドは同様の経験があるカメラマンのシヴァ、結婚式を控えたゴリ、シヴァの元夫のハミドらに看守に間違いないか確認してもらおうとするが、全員目隠しをされて本人の顔を見ていないので決め手に欠ける。そうしたなか、すぐにでも報復すべきというハミドら強硬派と不確かであり、報復を目的にすべきではないと反対するシヴァらが対立して激論となり混乱する中、事態は意外な結末へと向かっていく。
【見どころ+】
反体制的な言動でイラン政府から映画制作を禁じられ、2度にわたって投獄されながらも映画制作を続けるパナヒ監督の体験が反映された作品でリアルな内容だが、その中にもユーモアを散りばめたドタバタ劇や、主人公のワヒドやカメラマンのシヴァ、彼女の元夫ハミドたちのシリアスな激論をストレートに取り入れた描写など、最後まで目が離せない展開が続く。ワヒド、シヴァ、新婦ゴリ、新郎アリ、ハミドらのキャラクターが生き生きと描かれているのも見どころになっている。そして捕まえた”看守容疑者”の「人違い」主張により報復を踏みとどまり、同じ体験をしたシヴァら他の人間の意見を聞いて事実確認をすることにこだわるワヒドが、イラン政権や王様を自認するかの国の大統領が失ったかに見える民主主義的矜持を持ち続けていることにも注目だ。今後米国との終戦が実現したとしても、依然として残るイランの体制の問題をパナヒ監督は提起している。
【クレジット】
監督・脚本:ジャファル・パナヒ『白い風船』『チャドルと生きる』『人生タクシー』『熊は、いない』
出演:ワヒド・モバシェリ、マルヤム・アフシャリ、エブラヒム・アジジ、ハディス・パクバテン、マジッド・パナヒ、モハマッド・アリ・エリヤスメール
英題:IT WAS JUST AN ACCIDENT/原題:UN SIMPLE ACCIDENT/2025 年/フランス・イラン・ルクセンブルグ/ペルシャ語/1.85:1/5.1ch /103 分/日本語字幕:大⻄公子/字幕監修:ショーレ・ゴルパリアン/配給:セテラ・インターナショナル/協力:ユニフランス
©LesFilmsPelleas
公式 H P:simpleaccident.com 公式 X https://x.com/IWJAA_JP
5 月 8 日(金)、新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町、Bunkamura ル・シネマ 渋谷宮下ほか全国公開