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映 画
「ワイルド・スピード/ジェットブレイク」と「明日に向かって笑え!」のとっておき情報
(2021年8月7日9:35)
映画評論家・荒木久文氏が、「ワイルド・スピード/ジェットブレイク」と「明日に向かって笑え!」のとっておき情報を紹介した。
トークの内容はFM Fuji「Bumpy」(月曜午後3時、8月2日放送)の映画コーナー「アラキンのムービーキャッチャー NEO」でパーソナリティ・鈴木ダイを相手に話したものです。
鈴木 荒木さん よろしくお願いします。
荒木 今日は車の映画のお話からです。だいちゃん 車は運転するの?
鈴木 車、持っていないんですが、大好きです。
荒木 車というとディレクターのイズミ―ナですね。
元レディス? 走り屋ですものね。改造ジムニーでバンバンいってますものねえ、
今 はやりの言葉でいうと「ゴン攻め」って言うらしいですよね。
鈴木 イズミ―ナ、笑ってますよ。
荒木 そんな日原ディレクターのためにカーアクション映画というとこれ。
「ワイルド・スピード/ジェットブレイク」。8月6日公開予定です。
カーアクション映画といえばこれ 通称「ワイスピ」、「ワイルド・スピード」。
その第9弾! 大人気シリーズです。
だいちゃんは見ていますか?
鈴木 大好き!!
荒木 このシリーズ 知らない人のためにちょっとご説明。
この映画、基本は車泥棒のカーチェイス映画だったんですけれども。いつの間にか全世界を駆け巡って世界を救うミッションを行なうっていうシリーズになっちゃっています。
主役、チームのボスはヴィン・ディーゼル。がっちり体形のいかにもって感じのおっちゃんです。乗っているのは70年代のアメ車なんですよ。
一貫して。彼は70年代のアメ車しか乗らないんです。最新作でも アメ車万歳です。
2001年公開の第一作は カーアクション主体の潜入捜査モノだったですよ.。
どっちかというと チープな、典型的なB級ですよね。
3作目の「東京ドリフト」は日本が舞台で北川景子さんや妻夫木君もちらっと出ていたりしました。それが、5作目位からくらいから、その車泥棒の走り屋たちが悪の組織を倒すという話になっていきます。敵がどんどん強くなっていくうちに、なんだかわけわかんない映画になるのですが、とにかく 常に「車が最強」っていう映画なんですよ。
車大好きっていう人にはたまらない映画ですよね。だいちゃんは見ていますか?
鈴木 ほとんど見ていますよ。全部。
荒木 そうですか?6作目の「EURO MISSION」でしたか、ここでは巨大な戦車に大砲をバンバンぶっ放なされながら高速道路でカーチェイスしますが、
この戦車も、70年代アメ車と改造日本車に負けちゃうんです。
その次は『SKY MISSION』今度は車が空を飛びます。
高層ビルから高層ビルにジャンプして飛び移ったりします。そして敵の軍用の砲撃ジェットヘリとカーチェイスします!敵はミサイルとかガンガン撃ってくるんですけど、当たらない、当たらない。そして、今度も打ち破ります!
前回の「ICE BREAK」ではロシアの凍った海で 原子力潜水艦とカーチェイスで相手をぶっ壊しちゃうというとんでもなさ。先日テレビ放映してましたね。
鈴木 ありえない…007超えましたよね。
荒木 要するになんでもありなんですよ。
そしてとうとう今回は 宇宙にも行っちゃうんですよ。それも中古のアメ車にロケットエンジン付けて宇宙に行くんですね。宇宙に車で行くのかよ?という感じですよね。
こういう人気シリーズ映画は、作品のたびにいろいろなシュツエイションとか色付けが必要なので、私は宇宙に行くのは必然と思っていましたよ。
だいたいネタに困ると宇宙に行くんだよね。
007シリーズでも11作目だったですが、「ムーンレイカー」で宇宙に行きますよね。
ドラえもんなんか 4分の一ぐらいは宇宙が舞台ですよね。
「スターウォーズ」…は初めから舞台は宇宙だね。
鈴木 はじめから宇宙ですよね。
荒木 ここは考えていたジョークなんで、もっと笑ってもらわないと…。
鈴木 ははは…。
荒木 このシリーズほど、回を重ねる度にスケールが大きくなって 世界各国ロケ、新たな武器登場、俳優さんたちも一流がどんどん出演 まるで出世魚のようにうなぎ上りのシリーズはないですよね。商業的にも大成功していています。車映画の大金メダルですよね。
この映画を見る一番心掛けなければならないこと。これは絶対心がけてください・・
それは「深く考えちゃいけない」っていうこと。細かいことはどーでもいいです。
この『ワイルド・スピード』シリーズがすごいのは、主人公はどんな危ないことをしてもけがもしないし、死なないし、だけど周りの、すごく重要なキャラクターたちが次々と死ぬんですよ。ところが死んだと思っても次で生き返るし、その理由もあやふや。
物理的な原則もまるで無視。そんなバカな あり得ない。あり得ない。これでもか、これでもかの連続です。
鈴木 何でだろうと思っちゃいけないんですよね?
荒木 そうです。それが「ワイスピワールド」です。そう思ってみないとだめです。ワイルド・スピード原則なんですよ。とにかくもう 非現実的なシーンの連続で 無茶苦茶です。
車主体は一貫して変わりないんですけど、最近は車を走らせることより車を壊すことの方に重きを置いてるような感じで、ストーリー云々より車が沢山壊れる様を見るのがワイスピだと思ってます。今回はいったい何台 車ぶっ壊しましたかね?
1回あたり500台じゃきかないよねー?
それもCGをほとんど使っていないんですよ。前作でしたか?高層の駐車場から何十台もの車が飛び出して、下に落っこちていくんですけども。これ、CGだと思ってたんですよ。雨かシャワーみたいに。本当に落としているんですって。ばりばり壊す。本当にやっているんです。
まあ、自分の車じゃないから 誰のかわからない高級車ぼこぼこぶっ壊されるのは
痛快ですよね。
鈴木 一台ぐらい回してほしいですけど…。
荒木 これが自分のだったら、ちょっとバンバー擦っても2,3日くよくよしてますけどねー。わたし。
まあ、そういう映画がなんですが…全然説明になってませんね。
こんな閉塞状況のなかでここまでぶっ飛んだエンタメを見られるのはある意味ありがたいですよ。
鈴木 毎回 最新のヒップホップをメインにしたサントラ盤も人気で売れていますよね。
荒木 そうですよね。今回も音楽いいですよ。大きなスクリーンで是非。頭の中空っぽにして見てください。いろいろ面倒なことは おいてといて…。
それにしても 毎回思うけどこのシリーズはどこに向かい、どこに行きつくんでしょ?
…どこに行く「ワイスピ・・・」。「ワイルド・スピード/ジェットブレイク」
8月6日公開予定です。
鈴木 この映画、 将来また荒木さんが新しいシリーズを紹介しても同じ説明になるんでしょうね。
荒木 脚本、どうでもいいっていうよりそれをアクションが上回っちゃうんですよね。ぶっ飛ばしちゃう。そんなこと言っちゃいけませんが、脚本はないに等しい。
鈴木 ただ見て ただ楽しめばいい。それでいいんですね。
荒木 その通りです。それがワイスピです。
次は「明日に向かって笑え!」8月6日公開 珍しいアルゼンチンの映画です。
時は、2001年、今から20年ほど前です。舞台はアルゼンチンの寂れた田舎町です。
景気が悪いこの町で何とか、少しでも街を潤すことができないかと、住民たちは、放置されていた農業施設・組織、日本の農協みたいなものでしょうか?これを復活させるため、みんなで貯金を出し合います。中心人物はフェルミンというおじさんで、彼は集まったお金を銀行に預けますが、その翌日、金融危機で銀行預金が凍結されてしまいます。引き出せないで国のモノになるということです。
しかもこの状況を悪用した銀行の支店長と弁護士に預金を騙し取られ、住民たちは一文無しになってしまいます。彼らは奪われた財産を取り戻すべく、驚きの作戦を立てることになりますが…。
鈴木 驚きの作戦ですか?
荒木 そうなんですよ。小さな町の人々の奇想天外な復讐計画を描いたものなのですが、復讐劇ではあるのですが、ドンパチもなく、さっきみたいなカーチェイスもなく 絶妙なユルさと奇想天外な展開が楽しいお話でヒューマンドラマですね。コンセプトは「トラウマをユーモアで乗り越えよう!」です。
2001年に実際に起きた金融危機を背景にしていますが、当時はひどい状態で、本国を離れた人がいたり、貧困になったことで精神的に病んだりと 未だに苦しんでいる方がアルゼンチンには多くいるらしいですね。
もともとアルゼンチンの国民性って、南米ではありますが、一般的ないわゆるラテン気質とはすこーしちがうみたいですね。
ラテンアメリカって「褐色の肌に陽気な笑顔で踊る人々」という、ノー天気なイメージかもしれません。が、実はアルゼンチンは、ヨーロッパ系移民の白人系が人口の圧倒的多数を占めるんです。だからラテン気質は比較的低いんですよね。
鈴木 ラテンの中のヨーロッパみたいなものですか?
荒木 そうですよね。サッカーなんて見ていてもほかのラテン系とは違っているような気もしますしね。だいちゃんの好きなアルゼンチン。
鈴木 78年 マリオ・ケンペスですよね。僕、最初。
確かに違うねー。
荒木 ラテンアメリカの中では”変わり者”らしいですよ。苦境に対してとてもタフでアルゼンチン人は約束や時間もほかのラテンの国より比較的守るようですよ。
ほかのラテンアメリカンだったらこんな事態になっても お金を取り戻そうなんて思わないでしょうね。だからじゃないけどこんな映画が成り立つんでしょうね。
この映画にも多分これが国民性なんだろうな…と思われるシーンがたくさんあります。まあ、適当に物騒で適当に血の気の多いお国柄がある程度のコミカルさとシリアスさがうまく配合されています。楽しめますよ。
アルゼンチン映画の「明日に向かって笑え!」8月6日公開です。
荒木 タイトルも面白いですよね。アルゼンチンぽい?
鈴木 荒木さんは僕にとってサッカー小僧の先輩でもあるんですが、
どうなんですか?荒木さんにとって年代から見るとメッシとかマラドーナとか、いますけれども…白と水色の縦縞は?
荒木 今回のオリンピックでは 予選リーグで負けちゃいましたけどね。
見たかったですよね。過去の(64年の)東京オリンピックでは、日本はアルゼンチンと闘って勝ってるんですよね。それがきっかけで私なんかサッカー始めたんで、ある意味「サッカーの母国」ですよ。
鈴木 なるほど アルゼンチンには強豪でいてもらって国際大会でもバンバン
決勝に進んでもらいたいですよね、
荒木 最近ちょっと弱いよね。
鈴木 そんな話も尽きないですが、荒木さん ありがとうございました。
■荒木久文(あらき・ひさふみ)1952年長野県出身。早稲田大学卒業後、ラジオ関東(現 RFラジオ日本)入社。在職中は編成・制作局を中心に営業局・コンテンツ部などで勤務。元ラジオ日本編成制作局次長。プロデューサー・ディレクターとして、アイドル、J-POP、演歌などの音楽番組を制作。2012年、同社退職後、ラジオ各局で、映画をテーマとした番組に出演。評論家・映画コメンテイターとして新聞・WEBなどの映画紹介・映画評などを担当。報知映画賞選考委員、日本映画ペンクラブ所属。
■鈴木ダイ(すずき・だい)1966年9月1日生まれ。千葉県出身。日本大学芸術学部演劇学科卒。1991年、ボストン大学留学。1993年 パイオニアLDC株式会社(現:ジェネオン・ユニバーサル)入社 し洋楽宣伝プロモーターとして勤務 。1997年 パーソナリティの登竜門であるJ-WAVE主催のオーディション合格 。
現在は、ラジオパーソナリティとして活躍するほか、ラジオ・テレビスポット、CMのナレーション、トークショー司会やMCなど、幅広く活躍。 古今東西ジャンルにこだわらないポピュラー・ミュージックへの傾倒ぶり&造詣の深さ、硬軟交ぜた独特なトーク、そしてその魅力的な声には定評がある。