「ジェントルメン」のとっておき情報

(2021年5月11日11:00)

映画評論家・荒木久文氏が、「ジェントルメン」のとっておき情報を紹介した。
トークの内容はFM Fuji「Bumpy」(月曜午後3時、5月3日放送)の映画コーナー「アラキンのムービーキャッチャー NEO」でパーソナリティ・鈴木ダイを相手に話したものです。

アラキンのムービーキャッチャー NEO/「ジェントルメン」のとっておき情報
(映画トークで盛り上がった荒木氏㊨と鈴木氏)

鈴木    荒木さーん よろしくお願いします。

荒木    はい ゴールデンウィーク真只中ですが、昨年に引き続き変な感じのゴールデンウィークになってしまいましたよね。しょうがないですよね・・。 さあ 5月7日公開の作品から1本ご紹介しましょう。「ジェントルメン」という我々みたいなタイトルですよね。

鈴木    「ジェントルメン」…我々にぴったりですよね。あはは。

荒木    そうですね。ガイ・リッチーという映画監督の名前を聞いたことありますか?音楽ファンだったら知っている方が多いと思いますが…。

鈴木    マドンナのもと旦(元のだんなさん)ということだけですね。

荒木    そうですね。マドンナとの話も後でしたいと思いますが…。 彼の作品で有名なのは「シャーロック・ホームズ」シリーズ、「コードネーム U.N.C.L.E.」など そのガイ・リッチー監督の最新作が「ジェントルメン」です。 リッチー監督らしい、スタイリッシュな仕上がりになってます。まあ、マフィアモノというかやくざモノですね。
ストーリー イギリス・ロンドンの裏社会が舞台です。 マリファナ・キングというあだ名のミッキーは、あくどい大麻の仕事で、一代で王国を築き上げましたが、総額500億円にも相当するビジネスのすべてを売却して引退するという噂が駆け巡ります。
噂を耳にした人々、強欲なユダヤ人大富豪、ゴシップ紙の編集長、ゲスな私立探偵、チャイニーズ・マフィア、ロシアン・マフィア、下町のハングレーといったワルたちが一気に動き出し、莫大な利権をめぐり、紳士の顔をした彼らによる、裏の裏をかくスリリングな駆け引きが展開しますというわけなんですが。

鈴木    面白そうじゃないですかー。

アラキンのムービーキャッチャー NEO/「ジェントルマン」のとっておき情報
「ジェントルメン」(5月7日(金)より全国ロードシュー)(配給:キノフィルムズ)(© 2020 Coach Films UK Ltd. All Rights Reserved.)

荒木    そうですよ。出演者は豪華です。ミッキー役をマシュー・マコノヒーが演じるほか、チャーリー・ハナム、ヘンリー・ゴールディング、ミシェル・ドッカリー、コリン・ファレル、ヒュー・グラントら豪華なキャストが顔をそろえています。誰が主役になってもおかしくないキャスティングですよね。
作品構成的には時間が激しく前後するのでややこしいけど飽きさせないですよ。 裏の裏をかく展開、最後まで予想できないストーリーは見ごたえあるし、ヒューグラントやコリン・ファレルなど、今までのような甘い二枚目じゃなくってすごみのある一癖二癖ある悪役演じてますよ。 みんなヤクザものを楽しそうに演じています。

監督のガイ・リッチーって、もともとは、イングランド王エドワード1世の末裔にあたる貴族の出なんですが。名門の出にもかかわらず、コックニー(ロンドンの下町訛り)でわざと喋るような人ですね。ちょっと露悪家っぽいところがあるのですかね。 処女作は群像劇『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』。これがヒット、注目英国の映画興行収入では第1位を獲得しました。続く『スナッチ』でも賞賛を浴びました。いずれも緻密な脚本によって構成された群像劇ですね。 こんな順調にいっていたのに、ミソが付くんですよ。

鈴木  出たー。

荒木 そうなんですよ。マドンナとの結婚だったんですね。 02年に妻で有名歌手マドンナの主演で『流されて…』をリメイクした『スウェプト・アウェイ』という作品を監督しましたが。

鈴木  おぼえてないなー。

荒木  これがひどくって、不人気で、全くヒットせず、夫婦揃ってひどい作品に贈られる、ゴールデンラズベリー賞を受賞してしまい、さんざんな評価を浴びました。 まったくヒットせずです。

その後 離婚してから(2000-2008年マドンナとの結婚期)2009年にロバート・ダウニー・Jrとジュード・ロウを主演に迎えた『シャーロック・ホームズ』が公開。これまでで最も興行的に成功した作品となります。

離婚したとたんに運が上向き。いるんですよねー「下げなんとか」というか、男の運を下げる女って…また怒られちゃいますけどね。 だから マドンナと離婚してからはいい感じになっているんですけどね。

で、また、今回の作品、会話劇で下品な言葉のオンパレードなんですよ。 こういうの個人的には大好きなんですが、英語完全にわかるともっと面白いんだろうね。 鈴木     全然 ジェントルメンじゃないですよね…。

荒木     そうですよね…。すごいのが、CUNT(カント)という言葉連発垂れ流し。ドイツの哲学者のことじゃないですよ。純粋理性批判の…これは最悪の単語。ビッチより下品ですよね。 それに例のFUCKをはっきり言わずに フア・アックさんとか人の名前みたいに連発するんですよ。笑いましたね。これ聴いてから フアちゃんって言っちゃまずいんじゃないかな? 保険会社の〇フラックもなんか似てるからちょっとやばいかな? 不破さんと芥川さんはもっとだめだろうと思い始めましたよ(笑い)。

そんな言葉の遊びもあります。 ジェントルメンというのにジェントルマンが、一人も出てこない。黒い紳士という言い方もありますが、タイトルからしてジョークですよね。 豪華キャストのおしゃれな「クライムコメディー」、ガイ・リッチーの初期の作風がプンプンしていいですねー。もともとセンスの良さだけで勝負しているっぽい監督ですからね。

鈴木     そのセンスの良さに マドンナも惹かれたんじゃないですかね。

荒木     そうですよね。彼女にない部分が、あるのか、合致する部分があるのか、 能力はある監督ですからね。そういうわけで「ジェントルメン」5月7日の公開予定です。

今日は明後日のこどもの日にちなんで、お子さんと一緒に見に行ける映画の特集をやろうと思っていたのですが、公開延期とかが多くなっちゃって、ちょっとできなくなってしましました。子供モノばかりでなく、大人向きもね…。 ゴールデンウィーク真っ只中ですが、大型輪で遺作が準備されていた時期だったのに 緊急事態宣言による影響はとっても大きいですね。 もう  訳わかんなくなってますよ。都内の映画館の影響が大きいですが、山梨県内でも東京周辺県でも影響が出ています。 佐藤健主演「るろうに剣心 最終章 THE Final」や「グランパ ウォーズ おじいちゃんと僕の宣戦布告」「スプリー」も都内の上映館はすべて休館。この前ご紹介した「SNS 少女たちの10日間」も一部上映館を除いて 緊急事態宣言の解除後に上映を再開する予定です。混乱しています。
公開延期が決まった作品もあります。これは都内だけでなく山梨県でもやりませんが スタジオジブリの新作「アーヤと魔女」は、29日だった公開予定を延期しました。 23日公開予定だった「クレヨンしんちゃん 謎めき!花の天かす学園」も直前の22日に延期が発表されたんですね。 「クレヨンしんちゃん」ついてないですね。昨年4月に公開予定だった前の作品も 1回目の緊急自他宣言にともない9月に延期になってしまった経過があるんです。 野原新之助ついてませんなー。それから「ヒノマルソウル」とか。 話題作「ゴジラ対ゴング」も5月14日公開のはずでしたが、急に近日公開に代わってしましました。

鈴木     そうそう、早く見たかった。

荒木     映画館はね、そもそも密封空間ではないんですね。

鈴木     そうですよね。クラスターなんて出ていないしね。

荒木     映画館て、とても換気がいいんですよ。第一種換気装置というのを付けなきゃならないことになっていて、そして、観客は全員前向いて、基本 しゃべりません。 そういう意味でも安全なんですよと業界組織である全興連は言ってますけどね。 まあ、なかなか周りの施設がNGなのに映画館だけ大丈夫ってわけにはいかないからでしょうか?気を引き締めるために犠牲になっちゃった面もあるんですかね?

鈴木  電車は満員 ガンガン動いているし…。

荒木  そうですよね。 ちょっとおかしいと思いますよね。 山梨県はじめ 東京の周辺県では開いている映画館もありますのでよーく調べてからいってください。時間と労力の無駄にならないようにね、映画楽しんでください。

■荒木久文(あらき・ひさふみ)1952年長野県出身。早稲田大学卒業後、ラジオ関東(現 RFラジオ日本)入社。在職中は編成・制作局を中心に営業局・コンテンツ部などで勤務。元ラジオ日本編成制作局次長。プロデューサー・ディレクターとして、アイドル、J-POP、演歌などの音楽番組を制作。2012年、同社退職後、ラジオ各局で、映画をテーマとした番組に出演。評論家・映画コメンテイターとして新聞・WEBなどの映画紹介・映画評などを担当。報知映画賞選考委員、日本映画ペンクラブ所属。

■鈴木ダイ(すずき・だい)1966年9月1日生まれ。千葉県出身。日本大学芸術学部演劇学科卒。1991年、ボストン大学留学。1993年 パイオニアLDC株式会社(現:ジェネオン・ユニバーサル)入社 し洋楽宣伝プロモーターとして勤務 。1997年 パーソナリティの登竜門であるJ-WAVE主催のオーディション合格 。
現在は、ラジオパーソナリティとして活躍するほか、ラジオ・テレビスポット、CMのナレーション、トークショー司会やMCなど、幅広く活躍。 古今東西ジャンルにこだわらないポピュラー・ミュージックへの傾倒ぶり&造詣の深さ、硬軟交ぜた独特なトーク、そしてその魅力的な声には定評がある。FM Fuji『GOOD DAY』(火曜午前10時)のパーソナリティなどに出演中。

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