「アウトポスト」タリバン部隊に包囲された米陸軍部隊の壮絶な戦闘

(2021年3月14日20:30)

「アウトポスト」タリバン部隊に包囲された米陸軍部隊の壮絶な戦闘
「アウトポスト」(T・ジョイPRINCE品川)

2009年、アフガニスタン北東部の山奥のキーティング前哨基地で圧倒的な多数のタリバン兵と戦った約50人の米陸軍兵の壮絶な「カムデシュの戦い」の実話をスコット・イーストウッド、ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ、オーランド・ブルームなどのキャストで映画化した戦争アクション映画。監督は「ザ・コンデター」などのロッド・ル―リー。

■ストーリー

タイトルの「アウトポスト」(原題:The Outpost)は前哨基地という意味。アフガニスタンの山岳地帯に構えたキーティング前哨基地は、アフガニスタン紛争で米軍の補給経路を確保する重要な拠点となっていた。そこに派遣されたロメシャ2等軍曹(スコット・イーストウッド)らは、四方を険しい山に囲まれた谷底に位置する基地を見て愕然とする。敵のタリバン兵に囲まれたら格好の餌食になる。その予想通り連日山の上から銃弾を撃ち込まれ、迎撃する兵士が死亡していった。指揮官のキーティング大尉(オーランド・ブルーム)は村の長老らと交渉して金銭で武装を解除させるが、タリバン兵の攻撃はやむことはなかった。そしてある日タリバン部隊の総攻撃が始まり、後に「カムデシュの戦い」と呼ばれる、アフガニスタン紛争で最も過酷な戦闘が始まる。

■見どころ

史実を基にしたタリバンとの戦闘シーンは米兵の装備やタリバンの攻撃の様子や手持ちカメラで米兵役俳優を至近距離から移す映像はまるでドキュメントのようにリアルで、14時間続いたという実際の戦闘を再現した息詰まる攻防のシーンが延々と続く。被弾してほとんど即死の米兵、瀕死の重傷を負う米兵なども生々しく描かれている。
現場の状況を把握できずに無謀な指令をする上官に反抗して自ら戦術を立ててタリバンに反撃していくロメシャ2等軍曹をスコット・イーストウッドが熱演。父親クリント・イーストウッドの若いころをほうふつとさせる渋いマスクと演技で注目されている。また「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズなどのオーランド・ブルームが大尉役で存在感を見せているほか、「スリー・ビルボード」などで注目されているケイレブ・ランドリー・ジョーンズやジャック・ケシー、マイロ・ギブソンらが脇を固めている。米兵らが交代で衛星電話を使って米国の家族らと話す様子や、ドラッグを使用しているのが発覚して厳しく叱責される米兵、また恐怖のあまり精神的に不安定になりヘリで病院に運ばれる米兵など様々なエピソードも描かれ、戦争の悲惨さを改めて考えさせる。(2021年3月15日公開)