映画「私をくいとめて」 のんが多感な独身OL役で女優として新境地

(2020年12月20日12:30)

映画「私をくいとめて」 のんが多感な独身OL役で女優として新境地
「私をくいとめて」(©2020『私をくいとめて』製作委員会)

芥川賞作家・綿矢りさの同名小説をのん主演で映画化した話題作。今年10月に開催された第33回東京国際映画祭で観客賞を受賞した。監督・脚本は松岡茉優主演の「勝手にふるえてろ」(2017年)に続いて綿矢作品を映画化した大九明子監督。のんが脳内の相談役「A」と対話を繰り返しながら生きていく31歳の独身OLを熱演している。恋人役に林遣都、会社の先輩役で臼田あさ美、上司役で片桐はいりらが脇を固めている。「A」の声を中村倫也が務めている。また結婚してローマで暮らす友人役で橋本愛が出演。NHK連続テレビ小説「あまちゃん」(2013年)以来7年ぶりの共演も話題を呼んだ。

■ストーリー

31歳の独身OL黒田みつ子(のん)は、おひとりさま生活がすっかり板について仕事やプライベートを楽しんでいた。彼女には脳内に相談役の「A」(声:中村倫也)がいて、なにかにつけて「A」と会話しながら、人間関係や身の振り方に迷ったときに相談し、いつも正しい答えをもらっていた。その声の正体は実は「もう一人の自分」だった。「A」との生活にすっかりなじんで独身生活はずっと続くと思っていたが、みつ子は彼女の会社に出入りする年下の営業マン・多田くん(林遣都)と親しくなり、先輩のノゾミさん(臼田あさ美)のカップルとWデートして東京タワーの階段を登っているときに多田くん告白され波乱の展開が待ち受ける。

■見どころ

脳内の「A」との会話が頻繁に繰り返され、相手が見えずいわば一人芝居をするような難しい役柄をのんが奔放に、表情豊かに、時に怒りを爆発させるなど感性を迸らせながら圧倒的な存在感を見せて見事に演じ切って新境地を見せている。女優としてのポテンシャルの高さを感じさせ、最後まで目が離せなかった。林遣都は安定感のある演技を見せ、臼田あさ美がカーター(若林拓哉)に告白する独身OLをコミカルに演じている。また、「あまちゃん」コンビの橋本愛との7年ぶりの共演にも注目だ。(2020年12月18日公開)